野田首相は東京都が購入を示している尖閣諸島を国有化する方針を固めた。野田政権は「尖閣諸島はわが国固有の領土であることは歴史的にも国際法上も明白」としてきたが、国有化によって領有権を主張している中国と台湾が反発するのは避けられない。
尖閣諸島を実効支配している日本は、歴代政権が国有化などの踏み込んだ措置を回避してきたのは、中国や台湾との衝突を避ける外交配慮が先行していたのは否めない。
しかし東京都の石原慎太郎知事は、こうした配慮に反対して都が購入する方針を明らかにして、既に地権者とも買い取りに向けた交渉に入っている。石原都知事の方針に賛同する国民各層からも寄付金が殺到していて、すでに13億円に達した。
野田首相は政府として領土保全の意思を明確にする必要があると判断、国有化に踏み切ることで都側との調整に入った。一方、地権者側は石原都知事に対する信頼感が厚く、国の買い取りには唐突観を抱いている。
石原都知事はいったんは都が購入して、尖閣諸島の魚礁造りなど開発計画を明示したうえで国有化を行う意向といわれている。
このような動きをよそに鳩山元首相は七日、北京を訪問、講演で野田内閣不信任決議案が提出されたら、同調する可能性を示唆した。わざわざ北京にまで行って、こんなことを口走るのは如何なものか?”国賊”と非難されても仕方あるまい。
<政府は沖縄県石垣市の尖閣諸島を国有化する方針を固めた。政府関係者が7日、明らかにした。尖閣を購入する意向を表明している東京都の石原慎太郎知事にこうした方針を伝達、既に地権者とも買い取りに向けた交渉に入っている。ただ、領有権を主張している中国や台湾が強く反発、日中関係が再び冷却化する可能性もある。
尖閣国有化は野田佳彦首相の意向。政府は「わが国固有の領土であることは歴史的にも国際法上も明白」との立場だが、中国との関係を考慮して実効支配を強める動きは控えてきた。しかし、石原知事の購入表明を受け、政府として領土保全の意思を明確にする必要があると判断した。
国有化の対象は、尖閣諸島を構成する5島のうち、民間人が所有する魚釣島、北小島、南小島の3島。政府は3島を賃借しているが、都が購入すれば、賃借契約が切れる来年3月以降、更新は困難になる。こうした状況を踏まえ、政府高官は6日、これら3島を買い取る意向を示している石原知事を都庁に訪ね、国有化の方針を伝えた。(時事)>
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10049 首相、尖閣諸島を国有化する方針 古沢襄

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