尖閣諸島を国有化するという案はごく自然です。日本国の固有の領土であるのに外国から不当に領有権を唱えられる対象を守るためには、日本の主権を強く打ち出すことがベストです。
しかし日本の領土を日本国が所有するというごく当然の行動に日本側で異を唱える向きもあります。「中国を刺激するな」というのです。
この理屈に従えば、尖閣諸島を放棄することが中国を最も刺激しない措置でしょう。日本の領土を守ることより、中国の機嫌を損なわないことがより重要だということにもなります。
逆に、尖閣諸島に対して、日本国が統治を明確にしなければ、中国は尖閣への不当な領有権主張を弱め、撤回するのでしょうか。現実は反対でしょう。
だから尖閣を守るためには、日本国の主権の発揮を鮮明にするしかないのです。このへんのまともな基本思考を本日の産経新聞社説が書いています。
<<【主張】尖閣国有化 主権守る方策が問われる>>
政府が尖閣諸島(沖縄県石垣市)を国有化する方針を固め、購入を表明している東京都の石原慎太郎知事に伝えた。
野田佳彦首相は「平穏かつ安定的に維持・管理する観点から、所有者と連絡を取り、総合的に検討している」と尖閣諸島の魚釣島などを所有する地権者とも接触していることを認めた。
現在、魚釣島など3島は民間人が所有し、国が賃借している。国の所有になれば、日本の主権をより明確にし、主権侵害行為を排除できる。野田政権が尖閣国有化に踏み出したことを評価したい。
ただし、尖閣諸島は石原氏が4月に都の購入計画を発表し、すでに地権者と交渉を進めている。購入資金として、13億円を超す寄付金が東京都に寄せられている。
尖閣諸島を管轄する石垣市も都の購入計画に賛同し、連携を強化している。6日には、中山義隆市長が都庁を訪れ、日本が尖閣を実効統治していた記録ともいえる琉球大学による尖閣の調査研究書を石原知事に手渡した。
野田政権は東京都や石垣市に地権者を交え、魚釣島などの所有権移転手続きなどについて、よく話し合い、詰めてほしい。石原氏も将来の尖閣国有化は否定しておらず、「東京が買い取って、いつでも国に渡す」と言っている。
中山市長は「国が購入するだけでは全く意味がない」とも指摘している。石垣市が再三、尖閣調査のための上陸許可を求めても、国が認めようとしないことへの不信感があるためだ。
民主党内では、一昨年9月の中国漁船衝突事件以降、尖閣諸島への警戒監視レーダー設置や漁業中継基地建設などを求める意見が出された。野田政権は改めて党内や有識者から意見を聴くなどし、尖閣諸島の実効統治を強化するための有人化など、具体策を早急に決定すべきである。
今月、尖閣周辺の日本領海に台湾の巡視船とともに侵入した遊漁船は、中国国旗の五星紅旗を持っていた。活動資金が中国側から出ていた。尖閣を奪われかねない危険性が増している。
自民党は次期衆院選公約の第2次原案に「尖閣諸島国有化」を明記している。たちあがれ日本も次期衆院選公約に「尖閣への自衛隊配備」を盛り込んだ。日本固有の領土を守るため、党派を超えて知恵を出し合いたい。
杜父魚文庫
コメント