10月臨時国会の冒頭解散、11月総選挙の可能性が現実味を帯びてきた。今国会で消費増税法案が成立後、解散という”早期解散説”は薄れつつある。
この結果、自民党の谷垣総裁が9月の総裁選での再選されるか、党内には”黄色信号”が灯(とも)ったという観測が生まれている。谷垣おろしの空気が高まるのではないか。
<今秋の衆院解散が現実味を帯びてきた。野田佳彦首相が9日の衆院予算委員会で、特例公債法案の成立という具体的な“前提条件”を初めて示したからだ。同法案は9月8日の今国会会期末ぎりぎりの成立となりそうで、解散は秋の臨時国会冒頭が有力視される。(坂井広志)
首相はこれまで、解散の時期について「やらなければいけないことをやり抜いた後、民意を問う」と説明。「政治生命を懸ける」消費税増税法案の成立後の解散が念頭にあるとみられていた。
消費税増税法案は11日に参院で審議入りする予定で、審議時間は「90時間程度」(輿石東幹事長)。多少の審議の停滞を考慮しても、お盆を挟み8月下旬までには採決にいたりそうで、この法案の成立だけを条件とするなら、首相が今国会中に解散を決断することも可能だ。
しかし、首相は9日の予算委で「やらなければいけないこと」に特例公債法案を追加した。安住淳財務相は「10月末には(国の)財源がほぼ枯渇する」としており、赤字国債発行を可能とする同法案は今国会中に成立させておきたいところだが、野党の協力が得られる保証はない。成立したとしても、会期末ぎりぎりの日程となる。
その場合、首相が今国会中に解散を決断できる余地は少ない。加えて、9月には民主党代表選や自民党総裁選が予定されており、必然的に秋の臨時国会での解散が視野に入る。
実際、首相周辺は6月下旬に自民党幹部に「今秋までには衆院選が行われる」と伝えている。前原誠司政調会長も最近「秋に臨時国会を開き、景気対策や議員定数削減をする中で国民に信を問う環境を作っていくべきだ」と語っている。
小沢一郎元代表ら50人が離党したことも、首相の解散戦略に影響している。党内の「抵抗勢力」が激減したことで、9月の党代表選で首相が再選されるとの見方が強まっている。秋解散は首相にとって、代表選で党内基盤を固めた上で、総選挙に臨めるというメリットもある。(産経)>
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