民主政治の基本は選挙にある。良くも悪くも国民の過半数が三年前に民主党に政権を委ねた。ハト・カン政権の失政は、もとはと言えば国民が判断を誤った結果であろう。もっとも国民の半数近くは民主党を支持しなかったが、選挙という場で負けたのだから、いまさらグタグタ言っても仕方ない。力足らずだったのを率直に認めるべきだろう。
死票が多くでる小選挙区制度は、やはり弊害の方が大きい。政権交代がやりやすいとメデイアが鐘と太鼓で囃し立てた結果がこれである。亡友の石川真澄氏(朝日新聞)は中選挙区制度の方が民意を反映できると、小選挙区制度の採用を反対し続けた。だが、私を含めて少数意見だった。
実際に小選挙区制度を実施してみて弊害の大きさを朝野をあげて感じている。何よりも政治家が小粒になって右往左往することだけが目立つ。民主政治の基本である選挙制度の抜本的な再改革が焦眉の急となっているが、小粒となった政治家たちで再改革が出来るのだろうか。
保守政界の女帝・辻トシ子さんのところに、加藤紘一元自民党幹事長が「選挙制度の再改革に自分の最後の情熱を傾ける」と言ってきたと明かしてくれた。政界の長老議員といわれる様になった森元首相も、超党派の「選挙制度の抜本改革をめざす議員連盟」(会長・加藤紘一元自民党幹事長)が青写真を作っていると述べている。”加藤の乱”で恨み骨髄の森氏だが、加藤氏の選挙制度再改革にはエールを送ることを惜しまない。
現行の300小選挙区を150に統合して地方は2~3人区、都市部は4~5人区にする中選挙区制度が有力となっているが、小選挙区制度の採用の時に鐘と太鼓を叩いて囃し立てたメデイアは、羮(あつもの)に懲りて膾を吹くことわざ通り冷淡な反応しかみせていない。
今秋の解散・総選挙はほぼ確定的といっていい。消費増税は争点とはならない。増税を嫌う有権者だが、避けられない選択肢と容認するであろう。むしろ選挙制度の再改革が隠れたテーマとなった。
私は総選挙後、年内にも超党派の「選挙制度の抜本改革をめざす議員連盟」(会長・加藤紘一元自民党幹事長)が出す青写真をもとにして、選挙制度の再改革が実現するとみている。新しい選挙制度によって来年夏の衆参ダブル選挙を行うのも一考すべきではないか。もっとも来年のことを言っても鬼が笑うのだが・・・。
杜父魚文庫
10060 超党派の「選挙制度の抜本改革をめざす議員連盟」 古沢襄

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