丹羽宇一郎駐中国大使が、東京都による尖閣購入が「中国を刺激して、日中関係にきわめて深刻な危機をもたらす」と、発言した。
丹羽“前垂れ”大使閣下は、外交官として資格がない。隣国に対して非礼ではないか。
もっとも、自民党政権も、民主党政権も、「中国を刺激してはならない」と口癖のようにいって、日本国民どころか、石垣市職員にも、尖閣諸島に上陸することを禁じてきた。尖閣諸島は石垣市内にある。
「刺激してはならない」というのは、善良な住民のすぐ隣りに、暴力団が組事務所を構えていて、ひたすら戦戦兢兢としているのと変りがない。きっと、おそろしい面相をした団員が、時々、庭先を覗いたりするのだろう。
これでは、私たちが親しくしなければならない隣国の中国を、不法な暴力団扱いにしてしまっている。
だが、アメリカを刺激してはならないとか、インドを刺激してはならないとか、フィリピンを刺激してはならないとは、いわない。
ということになると、中国、南北朝鮮、ロシアを、まるで暴力団のように恐れていることになる。
私は1979年に中国に、はじめて招かれた。いまでも、中国と親しくしている。このあいだ、都内のパーティで中国の高官と再会した。「先生は中日友好の井戸を掘って下さった1人ですから、今後も期待しています」と、褒めてくれた。
私は鄭重に礼を述べてから、「日本では安心できない国に対して、友好関係といいます。日中友好、日露友好、日朝友好に対して、日米親善、日比親善、日印親善というように、直観的に使い分けています。ご一緒に、日中親善関係を築くために努力しましよう」と、答えた。
なぜ、隣国をこのように恐れなければならないのか。
日本は中国が、毎年、中国側の発表によっても、軍事予算を2桁で増してきたのにもかかわらず、自民党政権から始まって、民主党政権になって、10年以上も、毎年、防衛予算を削ってきた。
尖閣諸島のまわりは、僅か4隻の海上保安庁の巡視船が常時警戒に当たっている。ときには、尖閣周辺に100隻以上の中国漁船が現われる。武装した海上民兵が乗っている。
日本は自らの手で、尖閣諸島周辺に力の空白をつくりだしている。
このままでは、中国はかならず尖閣諸島を、力づくで盗りにこよう。北京では「収回琉球国解放沖縄」の横断幕を持って、五星紅旗を翻したデモが起っている。
中国のインターネットには、「中華人民共和国琉球自治区」や、「中華民族琉球自治区」の記事が載っていて、日本でも検索できる。
「琉球共和国憲法」から、「国旗」まで載っている。なぜ、駐中国日本大使館は強硬に抗議して、削除するように要求しないのか。
中国は今年に入って尖閣諸島の71の島々を、すべて命名した。まるで反社会勢力の団員がわが家の塀に、勝手に組の代紋を貼りつけるようなものだ。
私は20年以上前から、中国がかならず尖閣諸島を奪いにくるから、最大の魚釣島に陸上自衛隊1ヶ中隊を常駐させるべきだと、主張してきた。いったん民兵に占拠されてしまったら、奪回するのはきわめて困難だ。
中国と健全な親善関係を結ぶためには、臆せずに、抑止力を強めなければならない。そうすれば、親善関係を結ぶことができる。第一線を守るわが海上保安庁は、東京都に警察官が4万3千人もいるのに、職員が1万2千人しかいない。船も、ヘリも足りない。
戦前、魚釣島には住民が居住して、鰹節工場があった。鰹節工場を再建して、「尖閣鰹節」をつくって、全国に売ることを提案したい。“愛国の花”ならぬ“愛国の鰹節”だ。
杜父魚文庫
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