10107 中国新幹線を兵力輸送に利用  宮崎正弘

中国新幹線(北京―上海)開業から一年が経って、軍が兵力輸送の中枢、兵力展開の要に利用する裏目的が確認された。
昨年(2011年)7月1日、鳴り物入りの中国高速鉄道(新幹線)の目玉、北京―上海間が営業を開始した。1318キロを四時間と48分。ついでながら小生も直後に試乗したが、北京南―上海虹橋を五時間20分、客はガラガラ。これじゃ飛行機のほうが安くて早いから。
そして開業から三週間後(7月23日)、浙江省温州付近で信号故障による追突事故。40名が犠牲となり、200名が負傷した。天狗の鼻がぺしゃんこに折れた。
速度を50キロ落とすことが処置され、以後、北京―上海間は減便されたうえ、五時間40分以上かかるため、ますます魅力をうしなった。途中駅から途中駅の短距離客でかろうじて持っているといわれる。
軍事専門家のあいだでは、新幹線は兵力輸送の道具だろうと予測されたが、なかなか軍は本性を見せなかった。
7月15日、中国海軍は兵員の移動訓練を新幹線で行ったことが分かった。
海軍の青島基地を出発した兵士499名は、まず青島――済南間の新幹線で移動して、北京から上海へ向かう新幹線の幹線に乗り換えた。乗り換えに要した時間は僅か二分、全員が北京からきた和解号に乗り換えを終えた。
通常、新幹線は16両編成だが、グリーンクラス、食堂車各一両、一等車三両のため、二等は11両である。定員は1100名。したがって499名の兵員輸送はキャパからいえば、何の問題もないが、将来これらを基礎に10万の兵力を短時間で、A基地からB基地へ移動できるという訓練とみれば、おそるべき移動武器を保持したという意味になる。
香港の「明報」によれば、新幹線で青島から上海へ移動した部隊は北海艦隊所属で幹部の中には北海艦隊政治委員の才易人と、同艦隊副政治委員と航空隊政治委員兼務の白文奇が乗っていたことが確認されている。
白は少将で、空母ワリヤーグ担当の責任者の一人。
杜父魚文庫

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