坂本龍一氏といえば、アメリカ在住の著名な音楽家ですが、最近は東京都内で日本の原発つぶしをもっぱら煽っています。
坂本氏の政治活動というのは、奇妙です。9・11テロのころはもっぱら「アメリカが悪いからこの種の事件が起きる」という主張を繰り返し、朝日新聞の反米論調の常連となっていました。
坂本氏はさらに2004年のアメリカ大統領選挙では現職の共和党ジョージ・ブッシュ大統領打倒を宣言し、民主党のジョン・ケリー候補を公然と応援していました。アメリカに住む外国人がよくここまでアメリカ政治に深く踏み込むものだと驚嘆したものです。しかも現職大統領の引き倒しという非常に特定な一方向に徹した動きなのです。
その坂本氏はこんどは日本国民のエネルギー源のあり方を心配してくれて、東京での原発破棄デモの先頭に立っています。そのへんの二重三重の奇妙さを本日の産経新聞の「産経抄」がわかりやすく取り上げていました。
いまどきのおしゃれな文化人になるためにはどうすればいいのだろうか。若いときに電気をふんだんに使ったコンサートをやって人気者になり、ニューヨークの高級マンションに住む。もちろん税金は大好きな米国に払って日本には払わない。
▼菜食主義を一度は試し、電気自動車のコマーシャルに出る。還暦を過ぎれば流行の「反原発デモ」の先頭に立って、アジ演説をぶって拍手喝采される。目立ちたいのは文化人の業だが、もう少し本業に専念しては、と望むのは古くからのファンのないものねだりだ。
▼いままで書いてきたのは架空の人物の話。ただ、ミュージシャンの坂本龍一さん(60)が、16日に17万人集まったと称する(実際は7万5千人程度だったが)反原発集会での演説は、おしゃれな文化人そのものだった。
▼彼は、「たかが電気のために、この美しい日本の未来である子供の命を危険にさらすべきではない」とのたまった。確かに、たかが電気である。命には代えられない、と思わずうなずきたくなる甘いささやきではあるが、「たかが電気」がどれだけ多くの命を救ってきたことか。
▼東日本大震災でも17年前の阪神大震災でも真っ暗だった被災地に明かりが蘇(よみがえ)ったとき、どれだけの人々が感涙にむせんだことか。大震災直後の昨年春、たかが数時間の計画停電で、病院に影響が及び、どれだけの病人が困ったかを坂本教授は知らないのだろう。
▼昨日の首相官邸周辺でのデモには鳩山由紀夫元首相も参加した。原発への恐怖心を利用して騒ぎを大きくしようと画策する左翼団体や金持ち文化人、それに選挙目当ての政治屋どもに踊らされていることに参加者はそろそろ気付かれた方がいい。
杜父魚文庫
10117 坂本龍一氏の奇妙な政治扇動 古森義久

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