今朝の産経政治面の「野田日誌」欄をみると、野田佳彦首相と菅直人前首相が都内の日本料理店で約2時間20分にわたり会食したことが分かります。菅氏と言えば、首相在任中のちょうど1年前の今頃、長野県での再生可能エネルギーに関するシンポジウムで、
「200年前、300年前は山に芝刈りに行ったおじいさんが、薪や何とかで全部やれた。新しい技術に転換してやればいいだけだから、全てのエネルギーを賄うことも十分可能だ」
と、何を言っているのだか全く意味不明の、正気すら疑わざるをえない供述をしていた御仁ですね。最近の自身のブログ(21日付)でも「再生可能エネルギーの活用を拡大し、その間、化石燃料を利用すれば十分電力供給は可能」と書いていますし、最近も大飯原発の再稼働を決めた野田首相に対し、
「野田さん。あなたは国民の怒りの対象になってますよ。わかってますか」
と、相変わらず自分の姿が見えていないアドバイス(?)をしていました。また、最近は9月の民主党代表選での野田首相の再選がほぼ確実視されているので、2人の会合場所の外で2時間以上も立って待ち構えていた記者団は、当然、以下のような質問をしたわけです。
記者 どんな話をしたのか。民主党代表選の話とかは出たのか
菅氏 今日はね、私はね、この間、野田総理に私の好きな焼酎をちょっと送ったもんだから、そしたら今日はそのお返しで、ご馳走になったんです。後は四方山話です。
記者 反原発、原発のあり方の話については
菅氏 いろんな四方山話をしました。
記者 エネルギー政策の話も
菅氏 四方山話と言いうと四方山話です。
記者 野田首相の方からはどんな話があったか
菅氏 いやあの、私が送った焼酎は美味しかった。
記者 楽しいお酒でしたか
菅氏 ああ楽しいお酒でしたよ。
記者 代表選についての話は、政権運営のアドバイスは
菅氏 本当に楽しいお酒でした
……もちろん、菅氏に聞いた記者団側も、機微に触れる話を正直に語ってくれるなんて最初から期待していなかったでしょうが、それにしてもこの受け答えでは空しさがいや増したことでしょうね。暑い中、2時間もただ待っていた俺たちって、何なんだろうと。
私もかつて、首相番だったり、政党の幹部番だったりした際には、毎日のように政治家の夜会合が終わるのを外で待ち、ご本人や同席者、場合によっては店の関係者からどんな話があったか聞き取ろうとしてきました。記者団の取材にある程度きちんと応じてくれる人もいれば、まったく無言で無視する人もいるし、中には自分に都合のいい作り話(山崎拓氏はこればかり)を延々と語る人もいました。
それを今、後輩記者たちが同じことを繰り返しているわけですが、でもまあ、私自身、これが仕事だから仕方がないけれど、心のどこかではいつも人生の貴重な時間を無駄にしているなあと感じていたのでした。まして、今回の菅氏のように、何も答えるつもりはないくせに、一応、質疑には応じて意味のないことを口走るというパターンが一番嫌でしたね。
答えないなら答えないでさっさとどこかに行ってくれた方が、わずかでも自分の取材にあてる時間が持てますし、顔を赤くした酔っ払いの口から、こんな内容のない言葉を聞くと余計にどっと疲れますから。まあ、取材メモをみながら、ぼんやりとそんな感想を持ったというだけのエントリでした。この無内容さじゃ、菅氏のことをアレコレ言えませんね……すみません。
杜父魚文庫
10152 野田首相と菅前首相の「四方山話」について 阿比留瑠比

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