週明けの国会は衆院解散を睨んだ、消費増税関連法案の成立をめぐる与野党の攻防と駆け引きがが激化している。今国会で解散の確約を得たい自民党は、消費増税法案の三党合意を破棄しかねない動きをみせる一方で、内閣不信任決議案や参院での問責決議案の提出の検討に入った。
野田首相は流動的な国会情勢を打開するために六日、自民党の谷垣禎一総裁と公明党の山口那津男代表との党首会談を申し入れる方針を固めた。さきに輿石東幹事長に法案の10日採決を検討するよう指示していた野田首相は、さらに自民党が要求する八日採決に応じる意向を示していると、首相周辺が明らかにした。
自公以外の中小野党7党は七日にも、法案成立阻止のため内閣不信任決議案を衆院に提出する方針。民主党は粛々と否決すると言っているが、党内の鳩山グループの造反が懸念されている。
一方、公明党の斉藤鉄夫幹事長代行は「三党合意が反故(ほご)になれば、それこそ決められない政治だ。政治家全体が責任を問われる」と、三党合意に沿って関連法案を成立させるべきだと強調した。
国民新党の下地幹事長も「自民党が『消費税は反対だ。三党合意はだめだ』という野党7党の内閣不信任決議案に、党として反対しなければ、意味の無いことだ。何のために三党合意を自民党がやってきたのかということになる」と述べた。
たちあがれ日本の園田幹事長は、「野党7党が出す内閣不信任決議案に賛同することはない。自民党も別の内閣不信任決議案を出すべきではない。『この法案を成立させないとダメだ』とさんざん苦労して来たわけであり、それはすべきではない」と述べている。
<野田佳彦首相は5日、消費税増税を柱とする社会保障・税一体改革関連法案の今国会での成立を図るため、6日に自民党の谷垣禎一総裁と公明党の山口那津男代表との党首会談を申し入れる方針を固めた。首相周辺が明らかにした。
自民党が内閣不信任決議案と首相問責決議案を7日にも提出することで最終調整に入ったためだ。首相は自民党の求める関連法案の8日採決にも応じる構えだが、衆院解散の確約を求める谷垣氏を説得するのは容易ではなく、苦しい立場に追い込まれている。
首相は5日、広島県福山市内で記者団に、一体改革法案について「輿石(こしいし)東(あずま)民主党幹事長と、先方(自民党)の事情もあるから柔軟性を持って対応しようということで認識が一致した」と述べた。
不信任案が提出された場合については「与党内がしっかりまとまり、心ある野党と連携しながら粛々と否決する」と述べ、不信任案に慎重姿勢を示す公明党への期待をにじませた。
首相は6日午前、広島市での原爆死没者慰霊式・平和祈念式に出席し、夕方に帰京する。その後、自民、公明両党に党首会談を申し入れ、内閣不信任決議案の採決に入る前に決着させたい考えだ。
ただ、解散を避けたい民主党の樽床伸二幹事長代行は5日のNHK番組で「まずは幹事長間でけじめをつけないといけない」と述べ、先に幹事長会談の開催が必要との認識を示すなど、足並みが乱れている。
自民党の田野瀬良太郎幹事長代行は同じ番組で「国民の生活が第一」など自公両党を除く野党7党が不信任案を提出した場合、「苦渋の決断だが、(独自の不信任案)提出を視野に入れていかねばならない」と述べた。別の自民党幹部も「首相が今国会中の衆院解散・総選挙を確約しなければ3党合意を破棄し、7日にも不信任案と問責案の両方を出す」と明言した。
衆院に不信任が2案提出されれば、先例で会派勢力の多い自民党案だけが採決される見通しだ。この場合、公明党や7党が賛成し、与党から15人以上が造反に回れば可決する。(産経)>
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10199 野田首相 六日にも自民、公明と党首会談 古沢襄

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