産経新聞の[主張]は、「自民党は、社会保障と税の一体改革に関する民主、自民、公明による3党合意を破棄してまで衆院解散を求めて、総選挙でいったい何を主張するのか」と、一転して3党合意を破棄してでも解散を求める自民党のご都合主義を厳しく批判した。
党内の強硬論を押さえきれずに、政局に持ち込む谷垣執行部の危うさを指摘した。社会保障と税の一体改革を犠牲にしても構わぬご都合主義には、国民は選挙で厳しく批判を示さねばならぬ。これでは、国民の支持を得られない小沢新党と同列に堕した言わねばならない。
<自民党は、社会保障と税の一体改革に関する民主、自民、公明による3党合意を破棄してまで衆院解散を求めて、総選挙でいったい何を主張するのか。
消費税率のアップが民主党の公約違反だと指弾するのか。そして「消費税増税はやはり必要だ」と唱えるのか。いずれにしても説得力は持つまい。
「決められない政治」を打破するため、3党で合意した責任をどう考えるのか。
消費税増税関連法案に対する参院審議は、採決の前提となる中央公聴会の段階に入っており、3党の賛成で法案は成立する。
自民党が最優先すべきは、この法案成立だろう。
対応を一任された谷垣禎一総裁には、9月の総裁任期中までに解散・総選挙に持ち込みたいとの思惑が見え隠れしているが、責任ある判断を求めたい。
衆院では、「国民の生活が第一」やみんなの党などが、7日に内閣不信任案を共同提出する方針だ。自民党はこれに同調するのではなく、単独で内閣不信任案を出すことを検討している。
民主党の造反がなければ、内閣不信任案は否決される見通しだが、自民党による不信任案の提出によって民主、自民両党の対立は決定的なものになる。
また、自民党は解散の確約を求め、7日にも首相問責決議案を参院に出す構えだ。
首相問責決議案は、内閣不信任決議案が可決された場合に、解散か内閣総辞職を首相に迫るような法的効力はない。だが、可決されれば参院審議は困難となり、法案成立が厳しくなる。
問題は野田佳彦首相の対応である。民主党は自民党の要求に応じ、採決日程を20日から8日に前倒ししたが、これまでの執行部の対応をみると、法案を早期に成立させたくないようにみえる。
民主党は、政権交代時に無駄の削減などによって16・8兆円の財源を生み出せると訴えたマニフェスト(政権公約)が破綻したことなど、改めて国民の審判を仰ぐべき立場にある。
消費税増税をめぐり、政権与党内を一本化できないことが党分裂も招いた。
政権を担う正当性が問われ続けてきたのである。首相は法案の成立後、できるだけ早く解散すべきである。(産経)>
杜父魚文庫
10201 三党合意と自民党 法案成立の責任どうした 古沢襄

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