10212 身勝手な自民党の姿勢  古沢襄

ロンドン・オリンピックで日本選手がフェアプレーに徹し、見事な活躍をしているのに較べて、国内政治の舞台では、党利党略を弄ぶ理解し難い駆け引きが展開されている。読売新聞は八日付けで「内閣不信任案 一体改革を党利党略で弄ぶな」と厳しく批判した。
国民はバカではない。いずれ総選挙で国民の審判が下るであろう。
<社会保障と税の一体改革は、日本の将来を左右する重要案件だ。与野党が党利党略で弄ぶことがあってはならない。
国民の生活が第一、共産、社民などの中小野党が、衆院に野田内閣不信任決議案を、参院に野田首相問責決議案を、それぞれ共同提出した。
消費税率引き上げに反対する立場から、「消費増税は民主党の政権公約違反であり、野田内閣は信任できない」と主張している。
一体改革関連法案に修正合意した民主、自民、公明の3党は、不信任案と問責決議案を粛々と否決すべきである。
問題なのは、自民党が、野田首相から衆院解散の確約が得られない限り、内閣不信任案や問責決議案を独自に提出する、という強硬姿勢を再確認したことだ。自民党が提出に踏み切れば、3党合意は崩壊の危機に直面する。
衆院で不信任案は否決される見通しだが、参院では問責決議案が可決される公算が大きい。法的拘束力はないが、野党が参院審議を拒否すれば、一体改革法案の成立が極めて困難になる。
実現目前の一体改革を白紙に戻すのは、愚の骨頂である。さらに、9月に発足する予定の原子力規制委員会の人事も宙に浮くなど、多大な悪影響が出るだろう。
衆参ねじれ国会で政治が停滞する中、一体改革の3党合意は「決められる政治」に立ち返る一歩となるはずだった。合意が崩れ、法案が成立しなければ、既成政党への国民の評価は失墜しよう。
一体改革を犠牲にすることも辞さずに、早期解散を求める自民党の姿勢は、身勝手すぎる。
谷垣総裁が今国会での解散に固執していることにも、それが実現できなければ、9月の総裁選で自らの再選が困難になるためではないか、との見方が出ている。
自民党が参院特別委員会での8日採決の日程に同意しながら、問責決議案の提出の用意をしているのは、筋が通らない。
3党合意は、一体改革法案について「今国会で成立を図る」と明記している。民主党の国会運営に問題があったにせよ、自民党が一方的に反故(ほご)にするなら、政党間の合意や信頼は成り立たない。
仮に自民党が政権に復帰した場合、消費増税について野党の協力を一体どう得るつもりなのか。
公明党が「一体改革を政局の道具にすべきでない」として自民党と一線を画し、法案成立を優先しているのは、妥当な姿勢だ。今の方針を堅持してもらいたい。(読売)>
杜父魚文庫

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