落ち着くところに落ち着いたということであろう。今国会での解散に固執していた自民党が「近い将来に解散」から「近いうちに信を問う」に変わった首相発言によって、急転、矛を納めたことに様々な解釈がある。
日本語は便利なもので、「近いうちに信を問う」を今国会での解散を約束したと自民党が理解するのは自由である。また「近い将来」については、来年夏の衆参ダブル選挙まで含まれる。
「近いうちに」の意味は、九月に民主党の代表選、自民党の総裁選を経て、10月の臨時国会で解散、11月総選挙とみるのが常識的ではないか。年内選挙を以心伝心で伝えたとみた方がいい。
いずれにしても自民党や公明党が内閣不信任案や首相問責決議案を提出することは避けられた。その他の野党が提出した内閣不信任案や首相問責決議案は粛々と否決、葬り去られる。
矛を納めた自民党は、谷垣総裁の判断に対する批判が生まれる可能性がある。谷垣総裁は消費税率引き上げ法案の成立後、「近いうちに信を問う」の首相発言をとらえて、今国会での解散をねばり強く要求するのではないか。
しかし他の野党が提出した内閣不信任案や首相問責決議案が否決されてしまえば、一事不再議(いちじふさいぎ)の原則があるから攻め手を欠く。
野田首相と谷垣総裁がサシで話し合った時間があったから、解散時期について両者の”密約”があるとする観測が生じる可能性もあるが、これは勘ぐり過ぎであろう。それは野田首相の自殺行為になるからである。
<公明党の山口代表は8日夜、野田首相と自民党の谷垣総裁との党首会談後、記者団に、新党「国民の生活が第一」などが提出した内閣不信任決議案と首相問責決議案について、「こういう結果になった以上、否決の姿勢で臨みたい」と述べた。(読売)>
杜父魚文庫
10221 年内選挙を以心伝心で伝えた 古沢襄
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