常任委を七名に減員し、胡春華(内蒙古書記、団派)をいきなり常任委に推薦。
前回(第十七回)は、党大会の直前になって、団派は「上海派」にうっちゃりで敗北した。次期国家主席に胡錦涛がすすめてきた李克強の可能性が消え、太子党の黒幕、政界のフィクサーでもある曾慶紅(元国家副主席、江沢民の懐刀)が習近平をもってきたのだ。
習は毛並みは良いがおとなしく口下手。独自カラーがなにもない。だから上海派にとっては「バカとはさみは使いよう」というわけだった。江蘇省書記から上海書記に抜擢された習近平は、いきなり政治局常務委員へと三段跳び。
ならば、と胡錦涛は熟慮したであろう。「次がダメなら次の次があるさ」。
北戴河で秘かに行われている中国共産党の事実上のトップ会談(江沢民、朱容基、李鵬ら長老がよたよたと参加し、政治局員らと連日、避暑地で合議を重ねつつ、次期人事を決める)で、胡錦涛は胡春華を「いきなり政治局常務委員へと三段跳び」を提案した(ロイター、8日)。
しかし、このロイターの観測はどこまで信憑性があるのか?内蒙古自治区を治める胡春華は団派きってのホープ。
石炭とレアアースで、内蒙古のGDPを16%台に押し上げ、「第六世代」のライジングスター等(ほかに周強・湖南省書記、孫政才・吉林省書記ら)のなかでも頭ひとつリードしていると評判なうえ、胡春華の強味は胡錦涛との個人的関係の深さだ。
胡錦涛がチベット時代からの副官的役割で「小胡」と渾名もつくほど、贔屓にされてきた。
だからこの時点で、政治局員でもない彼が、辺境の赴任地から中央へ抜擢されるとなれば三段跳び、次の次のレースのトップに就くことを意味する。
しかしながら、内蒙古経済は暗雲が立ちこめており、とりわけオルダス、パオトウの不動産バブルの破天荒な崩壊は、上海派からの攻撃材料となるだろう。
杜父魚文庫
10224 北戴河会議が荒れ模様、胡錦涛が熱演中? 宮崎正弘

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