10250 2年ちょっと前に菅氏について書かれた文章を読んで 阿比留瑠比

本日は例によって夕刊デスク当番のため、朝早くから出社しているのですが、お盆シーズンとあって、処理する原稿があまりありません。なので、編集局内をぶらぶらしていて、棚に置いてあった2年1カ月前の文藝春秋(2010年8月号)を何気なく手にとったところ、「菅直人 あるいは軽薄なる冷酷」という記事が目につきました。
ノンフィクション作家の奥野修司氏による記事で、菅氏が首相についてまもなく書かれたものだと思いますが、タイトルも示すように後に指摘されるようになる菅氏の問題点が鋭くえぐられていて、興味深く読みました。まあ、分かっている人には当初から分かっていたのだなという、当たり前のことが改めて納得できたので、いくつか引用して紹介しようと思います。
《市川(房枝)も、そんな菅に異質なものを感じたらしく、菅が三度の落選を経て80年の衆院選で当選するまで、一度も推薦人に名前を連ねなかった》→菅氏にさんざん利用され、後援者リストを持ち出された市川氏が、「菅君はよくない」と話していたことは、私も産経紙面とこのブログに書きましたが、なるほど推薦人にもならなかったと。
《青木氏(菅氏と親しかったという青木茂元参院議員)によれば、市民運動の特徴は「シングル・イシュー(単一争点)です。一つのものに全力を挙げて穴を開ける一点突破」だという。裏を返せば、好きなことにはまっしぐらに突き進むが、興味のないことには見向きもしないということだ》→菅氏が新左翼がよく使った「一点突破、全面展開」を口癖にしていることは、私も書きました。さしずめ今は、「脱原発」が菅氏の突破口となっているのでしょうね。
ちなみに菅氏が学生運動で名をはせていたころ、いつもぎりぎり捕まらない位置・場所で動き、他者を扇動する菅氏を「第4列の男」と名付けた佐々淳行初代内閣安全保障室長(当時警視庁勤務)は以前、私に「あのとき、少々無理をしても逮捕しておけばよかった」と反省していましたが……。
《99年に行われたイベント「菅々学々大討論会」で学生たちと討論したときのことだ。「菅さんが総理大臣になったら日本をどうしたいですか」と問われると、「モノと金しか考えてこなかった戦後50年を反省して、モノと金と違う、子供も大人も公共精神をしっかり持つ国をつくりたいと思います」と、なんだかよくわからない答え方をしている》→どのツラ下げて「公共精神」などと言えたものかと言いたくなります。それにしても、模糊として確かによく分からない言葉ですね。
《また、外交政策のあり方には、「問題が起きている国に協力することは大切だと思います」と、まるで小学生のような回答である。おそらく「日本の将来像」や「外交政策」といった国家や社会に対する理念には関心がなかったのだろう》→討論会に来た学生たちが可哀想になるぐらい低レベルの回答です。まるっきり何も考えていないのがよく分かります。本当に、いったい何でこんな人が首相にまで……。
《「性格が細かすぎる」「自分でシミュレーションしないと納得しない」「なにもかも自分でやらないと気がすまない」といったことは、弱小政党(社民連)で生き抜くための、彼なりの知恵だったのだろう》→この手法が後に福島第1原発事故での菅流マイクロマネジメントとして猛威をふるうわけですね。昔から彼にはこれしかできなかったわけです。
《菅にまとう不安と危うさの最大の原因は、「イラ菅」といわれる彼の性格である。細かいことでも自分が納得しないと動かないから人任せにできない。任せても自分の思い通りにならないとイライラして怒鳴りつける—-。これは番記者に対してもそうだという。「最初は説明しますが、意見が合わないと、相手が理解していないと思って怒鳴るんです」》→なにせ20代のころから「イラ菅」と呼ばれてきただけあって筋金入りですからね。「こんな上司は嫌だ」でワースト1に選ばれることうけあいです。
まあ、菅氏に限らず、自分と意見・見方を異にする人を一切認めようとせず、相手の理解・認識不足と決め付けて一方的に怒ってくる人は確かにけっこういるものですが。
最近、菅官邸で菅氏の側近といわれ、いろんな場面で菅氏をかばってきた議員の1人は周囲に「あのときは俺もどうかしていた」と漏らしたそうです。1年がたち、ようやく冷静にあたりを見渡すことができるようになったようです。今は別のボスに仕えていますが、現在のボスと菅氏のあり方を比較することで、やっぱり菅氏は変だったのだと客観視できるようになったのでしょう。
もっとも、この現在のボスにしたところで、私や同僚たちから言わせると話にならない愚者であり、どうしようもない存在なのですが……。ともあれ、奥野氏が2年以上前に上記の文を書いていたように、正しい、あるいは有用な情報というのは探せばあるものですね。ただ、情報は同時に、そのときに意識がきちんと向かないと見れども見えず、聞けども聞こえず、読んでもすぐ忘れ……状態になりがちでもあります。難しいところです。
杜父魚文庫

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