薄煕来夫人の谷開来は予想通り執行猶予付き死刑判決。実行犯は懲役9年の軽さ。ついに権力のトップは「総主流派体制」から「総腐敗派」構造へ。
安徽省合肥。上海から新幹線が繋がっている。安徽省は胡錦涛の故郷。次期首相と目される李克強の故郷。薄夫人の裁判は犯行現場の重慶からはるかに遠隔地が選ばれた。
英国人ビジネスマンの殺害容疑で起訴された薄煕来夫人、谷開来の裁判は、この安徽省合肥で行われ、異例の超スピートで判決が出た。
予想通り執行猶予付き死刑判決。実行犯の張暁軍は懲役9年の軽さだった。もとより英国は死刑を希望しておらず、犯罪の具体的中味を知りたがった。
裁判では一切、肝腎なことが明らかにされず、薄一族の不正なカネがいかにロンダリングされ、どのような方法で海外へ送られたか。その総額は1000億円程度なのか、もっとあるのか。英国人はどのように絡んだのか?
裁判は英国人から脅かされての犯行という筋書きで、不正送金などは一切触れず、まさに死人に口なし。そのうえ開被告には手錠もかけられず婦人警官に拘束され、特別扱いもここまでとなると、この裁判はまさに茶番である。
判決理由はあくまで英国人から脅迫されて、息子の安全が脅かされたこと。薄夫人は精神不安定となり、とても正常な判断が出来なかった。そのご重々反省しているなどの理由がまことしやかに並べられた。米国にいる息子の出廷はなく、これらを裏付ける証人の出廷もなかった。
実行犯は雇用主の命令だから懲役9年は考えられるにしても、犯行後、事故死を偽装した重慶の警察幹部四人も同時に起訴され、そのうちの責任者には懲役11年とバランスが取れていない。
そもそも海外への財産移転、不正送金、巨額賄賂の海外での運用は共産党高官全員がやっている。中央委員の85%が子弟親戚兄弟が海外に暮らしており、二重国籍であり、高官一万人が海外へ持ち出した財産は3000億ドル内外と推定されている。
だから薄夫人の裁判では、この実態が漏れると高官全員の立場がなくなるため、不問に付したのだ。かくて総主流派体制は、総腐敗構造であることを立証した裁判結果となった。
このような腐敗国家が長持ちするだろうか?
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読者の声 READER‘S OPINIONS どくしゃのこえ 読者之声
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(読者の声)上海の株式指数が2100を割って年初(26xx台)来、最安値を更新中です。人民元の最近の安値基調を考えると、円換算、ドル換算では、さらに大幅安です。余り報道されませんが、じわじわと確実に進行しているようです。
1500を割ったら、不動産投機で儲けた金で株式投資をしていた連中に大恐慌が起きて、他の投機対象のアセットにも大きな影響を及ぼしかねません。かれらの多くが1500くらいの時に株式投資を行ったからです。
中国が一気にデフレに向かい世界中から資金回収に向かうか、穀物価格大暴騰を好機に、一気にインフレ政策をとってインフレで価格矛盾をごまかすか、中国政府がどちらの道を取るか、取らざるを得なくなるか見ものです。
ところで、今から二年余り前に近い将来、稲田朋美氏が日本の首相になるであろうと書いたのは、希望的観測でも、私の直感的予測でもありません。
ある日本の政局に大きな影響力を持った勢力が、次期日本の指導者として稲田氏を推すことに決めたとのうわさを聞いたからです。じわじわとその効果が出てきているように思います。今、表面的に見えるより高い確率で稲田政権実現の可能性があるように思います。(ST生、千葉)
(宮崎正弘のコメント)雑誌『正論』のアンケートで、50人ほどの保守系の人々が回答しています。「次の総理は誰がふさわしいか?」。
第一位は石原慎太郎、第二位は安部晋三。そして稲田朋美議員は堂々の三位でした。むろん、小生も稲田さんに票を入れました。
杜父魚文庫
10306 薄煕来夫人の判決は執行猶予付き死刑? 宮崎正弘

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