10352 問責決議案を二十九日提出のからくり  古沢襄

九月八日の会期末まで二週間。あと二週間あるとも言えるし、二週間しかないとも言える。自民党の谷垣総裁は二十五日、野田首相の問責決議案を来週に出すことになると明言した。二十九日に参院に首相問責決議案を提出すれば可決は必至だが、法的な拘束力を持たない決議案だから、民主党は無視するだろう。
いきおい国会は二十九日以降は野党欠席で、事実上審議がストップする。会期を十二日間残して国会は空転する。空転期間が長引けば世論の批判が出てくる。自民党は残る会期の中で、野田内閣を解散に追い込むつもりだろうが、秘策があるのだろうか。
民主党は二十四日、自民、公明両党の協力を得ないまま赤字国債発行のための特例公債法案の衆院委員会可決を強行した。しかし野党多数の参院で法案成立の見通しはない。
あるのは国庫のフトコロが空なのに、野党の責任で法案は成立しないと責任を転嫁する作戦。すでに総選挙を意識した非難合戦のネガテイブ・キャンペーンに入った。
自民党の狙いは十二日間の国会空白期間を作る中で、赤字国債発行のための特例公債法案を成立させる見返りに、今国会での解散を民主党に約束させることであろう。それをしないと九月総裁選で谷垣総裁の再選が危うくなる。
民主党は応じようとはしない。何としてでも十二日間頑張り抜き、解散を先送りしようとしている。早過ぎる選挙では、民主党は惨敗が免れない。最悪の場合は臨時国会で特例公債法案の成立を図る。我慢較べの民主党と強行突破の自民党というチキンレースが展開される。
乱戦模様の国会が解散なしで終われば、九月は民主党の代表選、自民党の総裁選の季節となる。各党とも選挙を意識した臨戦態勢をとる。台風の目となった大阪維新の会は、公認候補をズラリと並べるだろう。
野田首相は十月解散、十一月総選挙を否定しているが、大方のみるところは年内選挙は必至となった。
杜父魚文庫

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