えー、今回の竹島や慰安婦問題をめぐる一連の騒動で、韓国側は李明博大統領をはじめとして日本側にまたまた「謝罪」を求めていますね。いったい何をどう謝罪しろというのか困惑することしきりであり、もういい加減にしろというのが素直な気持ちです。まあ今回は、韓国側が日本の首相親書を突き返し、日本の主張に聞く耳を持たないという態度に出たので、こっちも堂々と当面「韓国を相手にせず」という姿勢を貫けばいいわけですが。
ただ、本当に嫌になるのは、韓国の場合、大統領が交代するといつも似たようなプロセスを繰り返し、最後は大統領の政治的立場や功名心、つまり相手側の事情でこっちの迷惑を一顧だにせず「今まで以上に謝れ」「今までのは謝罪のうちに入らない」などと不条理なことを言ってくることですね。
彼らとしては、歴史カードを振りかざせば、いつでも日本の優位に立てると思い込んでいるのでしょう。根拠もなく、日本は加害者であり、道徳的に劣る存在であるという前提で上から目線でいろいろと要求してくるのが通例なわけですが、今回は一線を超えてしまいました。
李大統領は「天皇陛下が韓国に来たがっている」という嘘を公言し、陛下の過去のお言葉を侮辱し、その上に立って「心から謝罪するなら来てもいい」と述べました。非礼・無礼・デタラメここに極まれり、であり、韓国という国のあり方を広く日本人に知らしめました。
おかけで国会では、創価学会の韓国布教戦略のためか親韓傾向が著しかったあの公明党議員まで激しく韓国を批判し、香港の活動家による尖閣上陸の件もあって、政府の外交方針を厳しく追及する場面が見られました。そして何より、半ばタブーとなっていた河野談話批判が、国会その他で封印を解かれたように始まっています。私はあえて言いたいのです。李発言は時代の風向きを変える分岐点になりつつあります。
「李大統領よ、ありがとう」
と。まあ、日本人の場合、良くも悪くも忘れっぽいというか過去のことをすぐ水に流してしまうので、ここでいったん覚醒したように見えても、気をつけないとすぐ元の木阿弥ということもありえますが、それでも韓国という国のイメージは今回の一連の騒ぎである程度、決定づけられたことでしょう。あとは、韓国がどんなにヒステリーを起こそうともはや相手にせず、河野談話見直しも含めて粛々と対韓外交を改めればいいのです。
さて、対韓外交というと私が社会部から政治部に異動になったばかりの平成10年10月に、当時の金大中大統領が訪日して小渕恵三首相と会談しました。私にとっては、国家の首脳同士による共同記者会見に出るのは初めてだった(質問の手は上げましたが、当然指されませんでした)ので、当時のことが強く印象に残っています。
このときの首脳会談で、小渕氏は日韓の歴史問題について「韓国国民に対し、痛切な反省と心からのおわび」を表明し、さらに署名した日韓共同宣言でも「多大な損害と苦痛を与えたことに、痛切な反省とおわび」を明記しました。日本が韓国民に向けた「おわび」を公式文書に記したのはこれが初めてでした。小渕氏としては、これで韓国との戦後問題に決着をつけるつもりだったのでしょう。
これに対し、金氏は「非常に重要だ」と評価しました。また、韓国マスコミはこの「おわび」について、それまでの「謝過」との訳ではなく、より強いニュアンスの「謝罪」と翻訳し、大統領スポークスマンもマスコミに「謝罪で統一するように」と説得したとされます。つまり、韓国側もそのとき(だけ)は日本側の「謝罪」をある程度重く受け止めていたわけですね。
実際、11年2月に当時の高村正彦外相が訪韓し、金大統領と会談した際、金氏はこう語っています。
「日本では、また(韓国側から)謝罪の話が出るのではないか、との考えがあるようだが、謝罪は一度でいい。韓日関係の過去は自分の訪日で精算された」
「(自身の訪日の)成果は韓国民から高く評価された。国民感情のわだかまりが解消したということは、一層大きな歴史的意味がある訪問だった」
……「過去は清算された」とまで大統領が言っていたのに、それから13年以上経つ今もこんな有様です。ちなみに、金大統領は10年12月にベトナムを訪問し、当時のチャン・ドク・ルオン大統領と会談した際には、ベトナム戦争に韓国が30万人以上を派兵したこと(多数の混血児をベトナムに残しましたね)について遺憾の意を表しましたが、その言い方は以下のようなものでした。
「過去にわれわれは、不幸な歴史を共有した。これについて、遺憾の意を表し、不幸な歴史を克服するために働くべきだ」
……謝罪なんか、しちゃいません。単純比較するつもりはありませんが、日本にだけは好き放題、謝罪でも賠償でも要求するけれど、韓国が他国に与えた被害・損害についてはこんなもんです。
まあ、『「反省やおわび」なんかしないことが国際法であり国際慣行である。それをすることは国際法違反であり、国際慣行違反なのである』(小室直樹氏)という指摘もありますし、日本はもうこうした韓国のダブルスタンダードを許容してはいけないと思います。
韓国自身が自国の歪んだあり方、盧武鉉大統領が在任中に整形手術を受けて一重まぶたを二重にしたことに象徴されるように、本当の自分と実際の歴史を整形・美化して恥じないことのみっともなさに気づくことは、あまり望めないでしょうが……。
杜父魚文庫
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