野田首相の後ろ盾氏から突然、電話を頂戴して早くも十日以上経つ。私の政局観を聞かれたのだが、政治の現場から離れて、利根川を越えた田舎に引き籠もった身だから、独断と偏見に満ちた返事しか出来ない。
話は多岐にわたったが、後ろ盾氏との応答で「オヤ!」と感じたことがある。
小沢新党が選挙でどうなるか、という見立てなのだが、「小選挙区で三人から、多くみても七人どまりだろう」という私の説を黙って聞いている後ろ盾氏は「比例代表はどうみます?」と聞いてきた。
日教組や自治労など同盟系の支持を得られない小沢新党なのだから「そりゃーゼロでしょう」と躊躇なく答えた。小泉元首相の”名参謀”だった飯島勲氏も、ゼロ査定をしていた。
後ろ盾氏は「ゼロになりますかね・・・」と賛同しない。「オヤ!」と思って、それ以来、小沢新党の比例代表の読みが気になっている。後ろ盾氏は選挙情勢をかなり詳しく分析していた。
十月解散・十一月選挙の公算についても「憲法違反になる選挙ができますかね?」と懐疑的だった。選挙情勢を詳しく分析すれば、するほど民主惨敗の予測があるから、野田首相は容易に解散権を行使できなくなる。あとは我慢較べだという感じが色濃かった。
輿石幹事長が民主党単独の選挙制度改革案を衆院に提出して、単独採決を強行した裏が読めてきた。この民主党案は自民党が賛成できる代物ではない。「早めの解散」は、この案を自民党が呑むことが前提になる。呑まなければ「早めの解散」は先延ばしされる。
ふたたび「ゼロになりますかね・・・」の話に戻すと、小沢新党は百人程度の候補者を擁立することになった。後ろ盾氏は、このことを予測していたのだろう。小選挙区では三人程度の当選しか見込めないが、比例代表で復活できる候補者は十人程度は見込めよう。いまでは私もゼロ説を撤回した。君子豹変を地でいくことになった。
杜父魚文庫
10433 後ろ盾氏 「ゼロになりますかね」 古沢襄

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