10439 総選挙大予測 維新躍進、第2党?  古沢襄

毎日新聞が「総選挙大予測」の企画記事を書いている。まだ解散の日取りの目星もつかないし、総選挙が年内か、来年一月になるかも定かでないから、いまは書き得の予測。
とはいうものの、党派別の獲得議席を予測した角谷浩一(政治ジャーナリスト)、野上忠興(政治ジャーナリスト)、有馬晴海(政治評論家)三氏の見方が、三者三様で面白い。
民主党が壊滅的な敗北を喫するという点では一致しているが、自民党については「比較第1党にはなれるが、単独過半数の241議席には及ばない」と「民主党も駄目なら自民党も駄目、既成政党はもう嫌だという有権者は多い」の見方に分かれる。
一番、ユニークなのは角谷氏。自民党が130、国民の生活・きづな・大地を合わせて50~60とみている。大阪維新も100~120。自民に辛く、国民の生活や大阪維新に甘い気がするが、臨時国会になっても自民党が審議拒否を続けるようだと、世論は自民党に厳しくなるから、角谷説に近い傾向が生まれるかもしれない。
私の予測は野上説に近い。これまでも指摘してように自民党は170議席どまりであろう。民主党は90議席台。国民の生活はフタケタに乗るが15議席前後。維新は100議席台に乗る。維新が第二党になる公算が濃い。いまのところは、当たるも八卦、当たらぬも八卦とお断りしておく。
第一党になる自民党は、民主と組むか、維新と組むかの路線論争が始まるとみている。
<国会が事実上の休会状態に陥り、衆院解散へのカウントダウンが始まった。民主党の失政、政局優先丸出しの政治家に向けられた国民の「次の1票」は、勢力図をどう塗り替えるか。さらに、その後の政権の姿はどうなるのか。政治ジャーナリスト、評論家3人に予想・分析してもらった。【宮田哲】
◇有馬さん「新党排除で自公民」/角谷さん「民主、80議席どまり」/野上さん「自民、国民がそっぽ」
「獲得議席は2桁か、せいぜい100余り」。政治取材のベテラン3人は、まず、民主党が壊滅的な敗北を喫するという点で一致した。
前回総選挙で民主党が得た308議席を、誤差わずか1と正確に予測した政治ジャーナリストの野上忠興さんは「民主党政治への失望感は都市部、農村部を問わず著しく、惨敗は不可避です。例えば、自民党の固い地盤が残る北陸3県は議席ゼロの可能性があり、東京18区の菅直人前首相、同6区の小宮山洋子厚生労働相、徳島1区の仙谷由人党政調会長代行らの大物も苦戦必至の情勢です」と分析。
「候補者が確定しないうちは正確な予測は難しい」と断りながらも、最も厳しい「80議席」を予想するのは政治ジャーナリストの角谷浩一さんだ。「この3年間、民主党はマニフェストをほごにし続けて有権者の期待を裏切り、結局は野党暮らしに慣れた“永田町ムラ”の住人に過ぎなかったことを露呈した。領土問題への対応もそうですが、この党は何を軸に行動しているのかが分からない。総選挙までに国民の信頼を取り戻すのは難しいでしょう」
一方、自民党については「比較第1党にはなれるが、単独過半数の241議席には及ばない」という予測が出た。「民主党も駄目なら自民党も駄目、既成政党はもう嫌だという有権者は多い。しかも、自分たちが名を連ねた3党合意を批判する首相問責決議に賛成したために、党利ばかり追いかけて何だと“嫌・既成政党”ムードはさらに強まった。東京のある衆院議員は『いい風が吹いているという雰囲気は全くない』と、こぼしていましたよ」(野上さん)
ただし、その数は130~205と開きがある。他の政党がどの程度議席を伸ばすかによって違ってくるためだ。最大の焦点は、言うまでもなく橋下徹・大阪市長率いる大阪維新の会の議席数だ。
「就職難や年金・子育て問題に不満と不安感を抱く20代の投票率が、過去3回の平均45%から50%台へと動く可能性があり、維新を押し上げる一因になり得ます」。「119議席」を予想する野上さんは、そうみる。ただし、これは全300小選挙区に候補者を擁立した場合の数字。
なかでも地元の近畿地方には“維新旋風”が吹き荒れそうだ。候補者は未定だが、支持率の高さや現職の得票力などを基に野上さんが分析したところ、大阪府の19小選挙区中14選挙区で維新候補が優勢で「7区の藤村修官房長官、12区の樽床伸二党幹事長代行も苦戦しそう」。
維新と公明党が選挙協力すると想定した4選挙区は公明党が強く、民主党が優位にあるのは11区の平野博文文部科学相だけ。滋賀・京都・兵庫・奈良・和歌山5府県の29小選挙区も維新17▽民主6▽自民4▽その他2という結果だった。
一方「維新は70前後」と最も控えめだったのは、政治評論家の有馬晴海さんだ。「93年衆院選でブームを巻き起こした日本新党が35議席。新党が議席を伸ばすのは難しいんです。候補者の質も未知数。小泉チルドレンや前回当選した民主党の新人143人ら、政治家志望者の相当数は、既に国会に来ている。今は多くの有権者が、まるで橋下市長が地元の選挙区から立候補するかのようなイメージを無意識のうちに抱いていますが、本当の候補者の顔が見えるようになれば、熱が冷める可能性は捨て切れません」
みんなの党が一定数を獲得するというのも共通の予想だが、国民の生活が第一と新党きづなについては「民主の理念に期待したかった人の受け皿になる」とみる角谷さんと、大幅減予想の野上さん、有馬さんで見解は分かれる。
■単独過半数を得る政党がない場合、新たな政権の枠組みはどうなるのか。
まず、消費増税で協力した民主、自民、公明の3党による連立政権の可能性。有馬さんが言う。「この組み合わせは自民党の長老議員らに支持者が多く、参院でのねじれが解消されるメリットがあると同時に、新党排除のスクラムを組めるという別の狙いもある。
いずれ維新の勢いが衰えたときに、自民と民主で再び戦おうという考えです」。ヒートアップしている自民党総裁選(14日告示、26日投開票)との絡みでは、野上さんは「谷垣禎一総裁が再選されたり、長老らとの関係が良好な石原伸晃幹事長が新総裁に選ばれた場合には、この路線で進む確率が高い」と解説する。
総裁選出馬の意思を固めたとされる安倍晋三元首相や、石破茂前政調会長が総裁になれば、自民・維新の連携が現実味を帯びる。既に安倍元首相は橋下市長側と連絡を取っている。
野上さんが語る。「民主党の支持母体の自治労、日教組は自民党の一部議員が最も嫌う勢力。その一人である安倍氏も自公民路線を嫌い、憲法改正などで立場を同じくする維新の会に接近している」。だが、自民党の片思いに終わる可能性もあるという。「維新支持層は既成政党に強い不信感を持っている。いかに政策が近くても、自民党と組めば彼らに見放されることを橋下市長は承知しているはずです」
「維新、みんな、生活などの中小野党が連立して政権をつくるかもしれない」と、大胆な筋書きを描くのは角谷さんだ。生活の小沢一郎代表が掲げる「オリーブの木」方式だ。「小さな政策で“小異”があっても、脱原発など“大同”の部分で一致できるはずです」
93年衆院選でも、自民党は223議席を得て第1党を占めたが、8党派連立の細川護熙政権が誕生した。野上さんは「トンビが油揚げをさらうように自民党から政権を奪ったのは小沢氏でした。連立で勝負するしかない小沢氏と、初の国政選挙に先達がほしい橋下氏。互いに必要とする事情はあります」。
野上さんの予測では、中小野党が連立を組んでも200議席程度で過半数に届かないものの「そこまで行けば、自民党や民主党から集団離党して、オリーブの木の側に行こうという動きも起きやすくなります」
見通せない衆院選後の政権のかたち。だからこそ角谷さんの次の言葉は重い。「各政党は選挙後の枠組みを示してから支持を訴えるべきです」(毎日)>
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