三月のフェラーリ事故のスキャンダルが、なぜ九月に突如暴露されたのか。公安系を牛耳る上海派が胡錦涛の秘書を左遷させる政治カードだったが・・・。
事故の中味がスキャンダラスだった。
小誌3746号の続報。既報は「ことし3月、北京四環道路でフェラーリが事故を起こした。丹羽大使のクルマから日章旗が奪われた道路である。フェラーリを運転していた男性が死亡、乗っていた女性二人も重傷を負った。事故現場の写真はネットからすぐに消されたので、誰?と憶測を呼んでいた。
この交通事故を起こし、死んだのが令計画の息子だった。9月3日付けの『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』がすっぱ抜いた。これにより胡錦涛は右腕を奪われたかたちになり、令計画は上海派の報復の餌食とされたわけだが、政治局員に昇格の展望も同時に失われた」と書いた。
令計画は中央弁公室主任。つまり官房長官だった。このポストを歴任した大物は温家宝首相、その前は曾慶紅(元国家副主席)らが居る。胡錦涛の秘書役、秀吉における石田三成、なぜ「統戦部長」などという閑職へ左遷されたか?
さて、続報は英紙『インデペンダンス』(9月5日付け)からやってきた。事故は3月18日午前四時。男性は裸体で発見され、死亡。重傷の女ふたりは全裸と半裸だった。「セックスゲームの最中だった」と同紙がつたえた。
大破したフェラーリは「458スパイダー」と呼ばれる新車で、令計画の年収の50倍もする。この秘密を党大会直前の人事抗争の土壇場で政治カードとして上海派は胡錦涛に突きつけてきたのだ。十月党大会、まだまだ一波乱、二波乱・・・。
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読者の声 どくしゃのこえ READER‘S OPINIONS 読者之声
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(読者の声)偶然、散髪しながら手にした『週刊朝日』に、宮崎先生の談話が掲載されていて、例の日本大使公用車襲撃、国旗強奪事件ですが、「安徽省」ナンバーが意味するところは上海派の嫌がらせ、なぜなら胡錦涛も次期首相といわれる李克強も、安徽省出身であり、しかも重慶で起きた薄煕来夫人のイギリス人殺害裁判も安徽省の合肥でおこなって、これらは胡錦涛への嫌がらせという説でした。
権力闘争というのは、末端でもそういう凄まじさがあるのですね。(HI生、名古屋)
(宮崎正弘のコメント)上海の隣が安徽省ですが、東京と山梨の関係。或いは大阪と和歌山の関係みたいでしょうか。安徽省は昔から「徽商」とよばれた茶の行商の組織が全土に拡がっていて、信用第一に商圏を広げ、中国の中では稀に信用の高い場所柄でもあります。
権力闘争の凄まじさに関しては拙著新刊『中国権力闘争 共産党三大派閥抗争のいま』(文芸社)を是非、およみ下さい。
杜父魚文庫
10445 江沢民・上海派の政治カード 宮崎正弘

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