10490 「維新の会」、中央政界に大きな影響  古沢襄

米ウォール・ストリート・ジャーナルは「日本維新の会」が、中央政界に大きな影響を及ぼすと報じている。とくに自民党のタカ派として知られる安倍晋三元首相との提携を注目している。
<日本では主流の既存政党への有権者の不満が広がるなか、今後実施される総選挙を控えて、大阪市の橋下徹市長率いる草の根政治運動への人気が高まっており、中央政界における政治と政策を形成する一大勢力になろうとしている。 
野田佳彦首相は「近いうちに」衆院を解散して総選挙を実施すると約束した。このため、与党民主党と主要野党である自由民主党は、総選挙を控えて選挙綱領を作成中だ。総選挙では橋下氏のグループが目覚ましいデビューを果たすと予想されている。 
橋下氏の「維新の会」は、大阪市と大阪府を統合するための地方の運動としてスタートしたが、広範囲に及ぶ政治メッセージを発するまでになった。例えば、首相の頻繁な交代を阻止するための首相公選制のほか、抜本的な地方分権、衆院定数半減、参院の廃止提唱などだ。 
橋下氏は、大阪維新の会を母体に新党「日本維新の会」を結成する方針を8日に発表した。このあと、この新党参加に関心を抱く十数人の国会議員や地元政治家による「公開討論会」を主催した。同討論会は、記者200人以上が取材に押しかけ、新党に鞍替えしようとする他党議員たちの5時間に及ぶ実質的な面接試験だった。
その多くは維新の会が次回総選挙で席巻すると予想される中部ないし西日本からの議員で、そのうち3人は民主党議員だった。 
橋下氏は8日、記者団に対し、国民は永田町の独りよがりに飽き飽きしていると述べ、行政ブロックにも飽きているし、何かをするためにいちいち東京にお伺いを立てなければならないことにも飽きている、彼らが何もするつもりがないなら、われわれ自身で成し遂げるだけだと語った。 
自民党と橋下氏が旗揚げする新党の後塵を拝している民主党は、自党議員が維新の会に大量流出するのではないかと恐れており、橋下氏提唱の米連邦制に倣った地域政策を最近、選挙綱領案に盛り込んだ。 
民主党はまた、野田首相に対して政府の長期エネルギー政策を先週提案した。近く発表される同政策では原子力の稼働を2030年代までにゼロにする方針を示すとみられている。橋下氏もまた、脱原子力政策を政府に求めている。 
一方、橋下氏は、大阪市のあらゆる公立学校の教師に学校行事で国歌を歌うことを義務づける条例を成立させるなど、社会保守主義に傾斜しており、次期首相にも影響力を及ぼすかもしれない。日本のメディアでは安倍晋三元首相が橋下氏の要請に応じて日本維新の会を率いることに関心を示していると伝えられている。
橋下氏も安部氏も、この憶測にコメントしなかった。 
タカ派として知られる安倍氏は、今月26日の自民党総裁選挙で強力な候補となり得る、と日本のメディアは伝えている。自民党が安倍氏を総裁に選出し、近く実施される総選挙で衆院の支配権を取り戻せば、安倍氏は首相の座に返り咲くことになる。 
橋下氏は、自分の人気に便乗しようとするライバル政党に容易に影響されることはないと主張している。橋下氏は9日、討論会の開幕にあたり、政党を形成する人々は同じ価値観を持った人々の集まりでなければならない、今の国会議員のように右を向くのか左を向くのかで合意できない政治家の寄せ集めであってはならないと強調した。(ウォール・ストリート・ジャーナル)>
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