尖閣諸島周辺の日本領海を侵犯する中国などの漁船を実力排除する法整備が出来ているが、中国監視船のような公船を排除する法的な根拠がない。したがって中国監視船が六隻も一斉に領海に侵犯してきても、海上保安庁の巡視船はマイクを使って警告を発するだけである。
国連海洋法条約には、「自国の領海内において必要な措置をとることができる」(25条)との定めがあるが、日本はこれに対応する国内法がない。自力で国境線を護るという意識が政府にも国民にも欠落していたということであろう。
産経新聞は主張で「中国の尖閣侵犯 公船排除の法整備を急げ」と指摘している。
これに対応する国内法がないため、日本は退去要請しかできない。領海侵犯した外国公船を強制的に排除するための法整備は急務である。
<<中国の尖閣侵犯 公船排除の法整備を急げ>>
<中国の海洋監視船6隻が尖閣諸島周辺の日本領海に侵入した。6隻もの中国公船の領海侵犯は過去に例がない。日本の尖閣国有化に対する危険な実力行使であり、中国が本気で尖閣を取りにきているとみるべきだ。
政府は程永華駐日中国大使を外務省に呼んで抗議した。不十分である。より強い対抗措置が必要だ。
中国では反日デモも拡大し、日本人が暴行を受けるなどの被害も出ている。中国当局に、在留邦人の生命、財産を守る義務を果たすよう厳しく求めねばならない。
6隻の中国監視船の領海侵犯は二手に分けて行われた。うち1隻は、退去を求める海上保安庁の巡視船に「魚釣島は中国の領土で、本船は正当業務を執行中だ。直ちにこの海域から離れてください」と日本語で逆に警告してきた。
退去要求以上のことができない日本側の警備体制につけ込んだ、許し難い挑発行為である。
中国の横暴な行動を招いた最大の要因は、野田佳彦政権が尖閣諸島をただ国有化しただけで、中国側に配慮し、何の整備もしないとの方針を示したことにある。中国との摩擦回避のためとされるが、逆効果になっている。
野田政権は、石原慎太郎東京都知事が国有化容認の条件として提示した、漁船待避施設や漁業中継基地建設などの整備策を、改めて検討すべきだ。2年前の中国漁船衝突事件後、自衛隊常駐を訴えた松原仁国家公安委員長ら政権内の意見も集約する必要がある。
国連海洋法条約は、沿岸国が無害でない通航を防止するため「自国の領海内において必要な措置をとることができる」(25条)と定めている。しかし、これに対応する国内法がないため、日本は退去要請しかできない。領海侵犯した外国公船を強制的に排除するための法整備は急務である。
中国農業省漁業局は、尖閣周辺に漁業監視船を送る準備も進めているという。中国国家海洋局の海洋監視船に加え、漁業監視船が漁船群を伴って尖閣周辺の海域に殺到することも予想される。
尖閣の事態に対処する関係閣僚会議では当然、森本敏防衛相も加わって、海保だけで対応できない場合に備えた海上警備行動などの検討を急がなければならない。
事なかれ主義外交では領土と主権を守れないことを、野田首相ははっきり自覚すべきだ。(産経)>
杜父魚文庫
10514 尖閣侵犯 公船排除の法整備を急げ 古沢襄

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