10524 反日暴動異聞(3)  宮崎正弘

反日抗議デモ三日目は意外に静か。北京大使館前は毛沢東礼賛セクトが二百名、深センはデモ禁止令。『人民日報』が事態の沈静化に動き出した。中国のメディアは日本企業の残骸、災禍の光景を一切報道していないため、日本企業が焼き討ちにあったり、強奪被害にあったりの実際を知らない。デモが行われた地域以外は通常通りなのである。
それでも人民日報は「法律に従って愛国行動を」と呼びかけて沈静化へ方針転換を示した。9月17日は各地に散発的な反日デモが行われているが、一転して当局の規制強化により少数の参加者となった。
とくに深センは前日に人民政府庁舎が襲撃され、催涙ガスで警備陣が対応、明らかに反日ではなく反政府デモに転化しそうな雲行きとなったためデモ禁止令がだされた。
深センは人口一千万、ほぼ97%が流れ者の街。不景気により失業があふれかえり、一声かければ暴動になると言われる。参加者の一部は香港からプロが混入した痕跡もあるが、大半の傘下組の意識には「反日」より「職よこせ」である。
北京の日本大使館前のデモは毛沢東肖像画を掲げた静かなデモ、この連中は繁栄から取り残された逆恨みを抱く「負け組」、「落ちこぼれ」グループと推測される。
先日まで景山公園で「紅歌」を歌って気勢をあげ、薄煕来復活を叫んでいた極左セクトだろう。
次の焦点は明日18日、柳条湖事件から81周年記念日。瀋陽の九一八記念館は警備厳重、十四緯路の日本領事館へは大通りからの進入が禁止されている。
杜父魚文庫

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