10576 朝日新聞の若宮啓文主筆に質す 古森義久

〈座標軸〉尖閣と反日 日中最大の危機、外交尽くせ(09/18)
■若宮啓文(主筆) 尖閣諸島の国有化によって中国全土にこれほど激しく反日の火が燃え広がろうとは、想像を超えてい た。きょうは中国が満州事変を忘れまいという「国辱の日」だけになお心配だ。 中国漁船が尖閣の海に大挙して入り、またしても島に上陸をはかったり、日本 の巡視船に体当たりしたりし…
朝日新聞が9月18日朝刊に若宮啓文主筆の尖閣問題に関する主張を論文の形で載せました。この若宮論文は中国の要求に奇妙なほど迎合した内容です。
尖閣諸島が日本の固有の領土だという主張はまったくなく、中国の無法な圧力に屈して、外交交渉にのぞむことを日本側に求めるのです。
これではまるで中国政府の代弁のようです。
この若宮論文の内容を紹介しながら、その欠陥や偏向、問題点を指摘します。合わせてなぜこんな主張をするのか、具体的な問いを公開質問の形で提起したいと思います。
この論文は「座標軸」という題のコラムの形をもとり、「日中最大の危機、外交尽くせ」「尖閣と反日」という見出しがついています。まず冒頭の部分を原文どおり紹介します。
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「尖閣諸島の国有化によって中国全土にこれほど激しく反日の火が燃え広がろうとは、想像を超えていた。きょうは中国が満州事変を忘れまいという『国辱の日』だけになお心配だ。
中国漁船が尖閣の海に大挙して入り、またしても島に上陸をはかったり、日本の巡視船に体当たりしたりしたら、どうなるか。領海に公然と入り始めた中国政府の船が、巡視船とにらみあうことにはならないか」
「さらに、世論に押されて中国海軍が出てきたら・・・来日したパネッタ米国防長官が懸念するような武力衝突の悪夢が起きないことを祈りたい。これは、国交正常化40年の秋を迎えた日中最大の危機である」
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さて若宮論文のこの冒頭部分の問題提起をみると、中国がそもそも尖閣の領有権を不当に主張していること、そして中国全土での反日デモは暴力をともなう違法行為であること、しかも中国当局がそれを煽っていること、という基本の認識がまったく欠けている――あるいはあえて隠している――ことがわかります。
すべて日本の国有化という措置が原因であり、不当であり、それに対する中国側の反日は自然であり、当然だといわんばかりなのです。
中国側の行動の理不尽を非難する言葉はどこにもありません。
逆に「大変だ、大変だ」と危機をあおり、日本側の恐怖をあおり、日本はその危機を避けるために、いろいろ措置をとらねばならないと、もっぱら「危機回避」の責任を日本だけに負わせているのです。(以下つづく)
杜父魚文庫

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