10586 尖閣めぐる武力衝突は非現実的 ロイター  古沢襄

英ロイター通信社は、尖閣諸島をめぐる日中の武力衝突の可能性は非現実的だとしながらも、海上で予期しない衝突が発生し犠牲者が出る可能性があると指摘している。
当然のことながら、日中両国間の緊張関係が高まるが、それでも本格的な軍事的対立が起こる前に、両国政府が対応措置を取ることが予想される・・・と結論付けた。
両国のメデイアはふれていないが、東支那海で中国海軍の艦艇が後方支援の態勢をとって出動しているのは明らかだし、日本の海上自衛隊も空・海から後方支援の態勢に入っている。
しかし軍が表面に立つ攻撃的な態勢はとっていない。ロイターによれば、中国の政府系シンクタンクの上級コンサルタントを務める元人民解放軍所属のXu Guangyu氏も「武力衝突が発生する確率は非常に低い。いずれの国もその道筋はたどりたくない」と述べている。
<[東京 23日 ロイター]尖閣諸島(中国名・釣魚島)をめぐって日中間の緊張が高まるなか、中国のタカ派コメンテーターは同国政府に日本との武力衝突に備えるよう強く求めている。しかし専門家の大半は、両国が戦争に突入する可能性はかなり低いと見ている。
それよりも危険性が高いのは、海上で予期しない衝突が発生し犠牲者が出る可能性で、これにより報復攻撃への圧力が強まるとみられる。ただ、それでも本格的な軍事的対立が起こる前に、両国政府が対応措置を取ることが予想される。
豪シドニーのローウィー国際政策研究所のリンダ・ジェイコブソン氏は、「真のリスクは海上での衝突で死者が出ることだ」とし、国家主義的な感情が急激に高まると指摘。しかし、それが一国による軍事行動につながるとは考えにくいと述べ、経済的報復の方が可能性が高いと付け加えた。
尖閣諸島をめぐっては、日本政府による国有化を受けて中国各地で反日デモが発生。両国間の経済活動に多大な影響が出る事態となっている。同諸島では、中国の監視船が周辺の接続水域を航行し、日本側は海上保安庁による警戒を強めている。
<米国からの圧力>
中国の政府系シンクタンクの上級コンサルタントを務める元人民解放軍所属のXu Guangyu氏は、「武力衝突が発生する確率は非常に低い。いずれの国もその道筋はたどりたくない」と強調した。
米国務省のキャンベル次官補(東アジア・太平洋担当)は20日、尖閣諸島について、日米安全保障条約の適用対象になるとの認識を示した。専門家らはこうした米国側の動向も、日中両国を自制させていると指摘した。
中国の監視船と日本の海上保安庁の巡視船は、現在も尖閣諸島周辺の海域で活動を続けており、問題発生の可能性が懸念されている。その一方で、軍事専門家はいずれの国も衝突回避に努めるとの見方を示す。
政策研究大学院大学の道下徳成准教授は、「悪いニュースは、中国が監視船を送ったこと。良いニュースは監視船が政府の管理下にある当局の船舶だということだ」とコメント。当局は状況悪化を懸念しており、監視船が攻撃的な行動に出る可能性は低いと指摘した。
また、中国当局が監視船を送った目的は尖閣諸島の領有権を主張するためだけでなく、「漁船が問題行動に出ないように監視するためでもある」との考えを示した。
<中国漁船による「不測の事態」>
軍事専門家は、中国の監視船が日本の海上保安庁の巡視船と同様に統率されていると指摘。日本の元自衛隊幹部も「いずれの国の海上当局も適切に管理されている」と述べた。
最大の懸念は、中国の漁船が当局の監視をくぐり抜けたり、活動家が尖閣諸島に上陸しようとするなどして海上保安庁と衝突し、犠牲者が出ることだ。このようなニュースはインターネット上で瞬く間に広がるだろう。
2010年には日本が巡視船に衝突した中国漁船の船長を逮捕し、外交面や経済面で日中関係が大きく冷え込んだ。今回は緊張が既に高まっている上、中国が10年に1度とされる最高指導部の交代を迎え、一方で日本は与党・民主党が次期総選挙で大敗を喫する可能性がある。
米ハワイの東西センターのデニー・ロイ氏は、両国政府が合理的であれば、「居住者のいない岩(尖閣諸島)をめぐって大規模な戦争に突入することはない」としながらも、予期せぬ形で戦争が始まることもあり得ると指摘。小競り合いで始まった衝突がエスカレートする可能性はあると語った。
ロイ氏は「相手国による挑発とみなされる行為には対応しなければならないと、いずれの国も考える」とし、強硬的な措置を強く求める国内圧力があると語った。
一方で、予期せぬ衝突が軍事対立を引き起こす可能性は低いと考える専門家もいる。前出のXu氏は「両国間には他にもコミュニケーションの手段は残っている」とし、問題解決に向けて両者が対話を持つことはまだ可能だと指摘。「たとえ何らかの衝突が発生したとしても、抑制不可能な状況に陥ることを防ぐため、国連事務総長などが介入して問題に対処するだろう」と述べた。(ロイター)>
杜父魚文庫

コメント

  1. katachi より:

    イギリスとアルゼンチンのフォークランド紛争の時は、戦争の確率はどうだったのでしょう。
    領土問題は、古来より武力ですから話し合いの様な綺麗事では、日本の外務省の様になってしまいます。
    恐らく支那が、戦力に自信があれば、戦力で押し切ってくるのは解りきっていることで、南シナ海とは違った対応を見せている。
    進攻手順は同じでも、日本ののハードルが高すぎるのだ。
    躊躇しているから、誰の目にも踏み切れないで居る支那を評論できるのであり、素人でも出来る事である。
    領土が戦力無しに解決できない時点で一戦交えればいいのですよ、其の後に確実に話し合いが持たれます。
    そしてより確かな書面が証拠として残ります。
    是が世の習わしでしょう。
    それ程人類は、進歩していませんよ。
    国連は、未だに連合国の立場であり、日本は、敵国である。
    日本が、シナを負かせれば、どのような結論が出るのでしょう?支那に脅かされてる諸国も、日本にアジアの盟主を望むことは目に見えている。となると支那の立場は、初めてその特権を持つ意味を問われる事になる。
    色んな意味で突破口を開くには、支那に焼きを入れる行為が必要なのです。

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