尖閣問題をめぐって議論が盛んです。
日本の大手メディアでは予想どおり「中国を刺激するな」「冷静に」「外交活動で解決を」という式の従来の事なかれ主義の主張が「識者」たちから述べられているようです。
中国を相手とする領有権紛争(そもそも尖閣は日本領土ですから、中国との協議や交渉や話し合いはないはずですが)では、白か黒か、です。中国の反応を第一とする大江健三郎氏のような立場をとるなら、尖閣を中国に譲り渡せばよいことになります。そうすれば紛争は起きません。
それではダメだというのがいまの日本国民の大多数でしょう。日本の領土を外国が求めたら、その外国と衝突をすることを避けるのが最善策というのなら、その領土を進呈してしまうことが解決策です。
とにかく中国の命じることには逆らってはいけないという人たちが日本には多いようです。作家の村上春樹氏の朝日の寄稿もそうですね。日本文学を焚書扱いにしているのは中国当局なのに、その中国を責めずに、日本を非難するのです。ヘンな頭脳構造ですね。
この種の日本人の思考を理解しようとしてもできないといぶかっているうちに、ハタっと一つの考えがひらめきました。大江さんも、村上さんの、日本の領土である尖閣を日本が手放し、中国に進呈することを別に構わないと思っているのだ、というひらめきです。そうなれな彼らが日本人として述べているこの奇奇怪怪さも説明がつきます。
その一方、アメリカ側では以下のような考えが発表されています。
<<▼ウォールストリート・ジャーナル(米国)社説>>
■国際社会への挑戦の一端
ウォールストリート・ジャーナル紙は9月25日付の社説で尖閣問題をめぐる中国の反日行動を非難し、日本へのこの動きが国際秩序への挑戦の一端だとして米国が断固として阻むことを求めた。
「中国の民族主義者の猛威」と題する社説は最近の中国での反日行動が暴動に等しい危険な動きだとして、中国政府は反日をまずあおり、一定線を超えると抑えるという二重のコントロールをしていると論評した。
同社説は「中国共産党は国内の反日感情を沸騰させることで、かつて日本軍を中国から追い出したという歴史的な業績からの統治の正当性を得るという利得がある」とも述べた。
日本の野田政権が(都の計画に介入する形で)尖閣諸島を地権者から購入し、国有化して中国との摩擦を減らそうとしたにもかかわらず、中国側は「挑発」として受け取り、尖閣海域に公船を送りこみ、自国内の日本企業の襲撃をあおったことは、「危険であり、自国の経済停滞から国民の目をそらそうという試みだ」とも論じた。また、尖閣国有化に対し「中国は自国の主権主張のためのなんらかの外交的な抗議が必要だったのに、それをせず、いきなり軍事衝突の危険を増すような措置をいくつも取ってしまった」と中国側に批判の重点を向けた。
さらに社説は中国の尖閣問題での侵略的な姿勢は民族主義の表れで、 国際社会の現状を崩そうとしたソ連の域にこそ達していないが、「反民主主義勢力は民族主義が加わると、国際秩序に挑戦し、不安定にすることが避けられず、 米国は中国がその(日本のような)隣国に攻勢をかけることを断固として阻止すべきだ」と主張した。
杜父魚文庫
コメント