北京から産経・川越一特派員が、野田改造内閣の人事で国家戦略担当相に起用された前原誠司前政調会長と文科相に就いた田中真紀子氏の二人の元外相に中国メディアが注目していると伝えてている。
だが中国側の評価は、二人の元外相で180度違う。
「民主党内のタカ派」のレッテルを貼る前原氏に対しては、「中国がもっとも嫌う男(日刊ゲンダイ)」だから徹底して酷評している。
一方、田中角栄元首相の娘である田中真紀子氏については、「かつて鋭い舌鋒(ぜっぽう)で国民の人気を博した」と持ち上げている。
<【北京=川越一】中国国営新華社通信は1日、第3次改造野田内閣の陣容などを速報した。中国メディアは今回の内閣改造の狙いを「支持率向上と政権の延命」と揶揄(やゆ)。内政不干渉の建前を取る中国外務省は、静観の姿勢を保っている。
今回、中国メディアの関心を集めたのは国家戦略担当相に起用された前原誠司前政調会長と文科相に就いた田中真紀子氏。元外相という共通点はあるものの、沖縄県・尖閣諸島をめぐって日本と敵対する中国での両者の評価は正反対だ。
前原氏はすでに「民主党内のタカ派」のレッテルが貼られている。9月29日に中国による歴史の歪曲(わいきょく)を指摘したところ、中国外務省の洪磊(こうらい)報道官は「発言はまったくの誤りだ。日本には歴史を正視せず、歴史から逃避しようする政治家がいる」とかみついた。中国メディアは「(野田首相と)政策理念が似通っている」と警戒心を隠さない。
一方、田中氏は9月末に訪中した際、中国政府が主張する尖閣問題の“棚上げ論”について「私の記憶でもそう思っている」と存在を肯定。共産党機関紙、人民日報などに、さっそく“宣伝材料”として使われた。新華社は田中氏を「かつて鋭い舌鋒(ぜっぽう)で国民の人気を博した」と持ち上げた。
中国の華僑向け通信社、中国新聞社は日本国内の報道を引用し、田中氏の入閣を「膠着(こうちゃく)している中日関係を突破する中国カード」「中国に向けた関係修復のシグナル」と位置づけた。(産経)
<日刊ゲンダイが「中国がもっとも嫌う男 前原を入閣させる野田首相の狂気」を書いている。
<識者ものけぞる挑発人事>
細野豪志・原発担当相が政調会長に回ったことで、ガ然、注目を集めているのが前原誠司政調会長(50)の行き先だ。財務相や経産相への起用が取り沙汰されているが、ちょっと待って欲しい。前原といえば、単細胞を絵に描いたようなタカ派で、その言動が多くの波紋を広げてきた。中国政府が最も嫌う政治家のひとりである。尖閣国有化で日中関係は一触即発なのに、ここで前原を閣僚に起用すれば、中国の怒りの炎に油を注ぐ。野田は本気で中国と戦争を始める気なのか。前原だけは絶対にダメだ。
中国での前原の嫌われようはハンパじゃない。2年前に中国漁船衝突事故が勃発した当時、菅内閣の外相だった前原に、中国メディアは「中日関係改善の障害物」「トラブルメーカー」と痛烈な批判を浴びせ続けた。
中国系香港紙の「文匯報」は〈日本政府は外相を更迭しなければ、中日関係の回復は難しい〉と社説に書き、中国の国際紙「環球時報」は〈青二才の暴れん坊には外交はまだ早い〉とコキ下ろした。極め付きが、人気週刊誌「環球人物」で、日の丸のハチマキを締めた前原の“能面ヅラ”が表紙を飾り、〈気が狂った反中の首謀者〉と見出しをつけられた。
「いずれのメディアも、中国共産党の影響下にある。前原氏をクソミソに叩いたのは、党中央の意向を反映しているのです」(中国駐在員)
当時、前原は中国人船長の釈放後の中国政府の対応を「極めてヒステリック」と批判。ハノイの東アジアサミットで日中首脳会談がセットされても、「(会談は)焦らなくていい」と冷や水を浴びせた。これらの強気発言が中国側を刺激し、会談は土壇場でキャンセルに。せっかくの関係修復ムードはブチ壊された。
この傍若無人な振る舞いを中国政府は忘れていない。前原がどの閣僚ポストに就いても、中国側が一段と反発を強めるのは必至だ。それなのに野田は代表選で協力してくれた前原を厚遇する気だ。党幹部から外した以上、入閣は既定路線になってしまった。トチ狂っている野田は22日に米紙ウォールストリート・ジャーナルのインタビューに応じ、こう言った。
「中国が尖閣諸島をめぐり(日本に)挑発的な反応を示せば、外国人投資家は中国を敬遠する。すでに減速傾向の中国経済が、ますます悪化しかねない」
“牽制球”を投げて、イイ気になっているのである。こりゃあ、ダメだ。本当に前原起用となる。
元外務省情報局長で作家の孫崎享氏は「野田首相の現状認識はどうかしている」と、こう言った。
「減速傾向とはいえ、中国の巨大市場はまだまだ魅力です。その獲得競争で欧米企業としのぎを削る中、日本企業は領土問題で脱落しつつある。欧米の投資家が中国を敬遠するはずもなく、むしろ日本の脱落をシメシメと喜んでいますよ。さらに中国側が警戒する前原氏を入閣させれば、ますます国益を損なうことになる。本当に政治・外交センスを疑います」
野田が首相でいる限り、中国を怒らせるだけ。前原の大臣起用が、中国への決定打となりかねない。(日刊ゲンダイ)>
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10616 中国メディアの関心は2人の元外相 古澤襄
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