海の向こうの韓国で原子力発電所の故障事故が続発している。冬の大停電の懸念されると韓国メデイアは騒いでいるが、放射能漏れでもあれば、日本にも被害が及ぶ。
今回、故障で発電を中止した新古里原発1号機は2011年2月末に運転を開始したばかり。また霊光原発5号機は2002年5月に運転を開始している。
<2日午前、韓国で原発2基が相次ぎ故障し運転を停止した。1日に2基が故障で停止するのは、2007年6月以来約5年ぶりとなる。今回の2件を含め、今年1月以降の故障はすでに7件に上り、昨年の故障件数(7件)と並んだ。10年の2件に比べると5件も多い。
昨年に日本で起こった福島第一原発事故と韓国での原発部品納品をめぐる不祥事を受け、原発事業に対する管理・監督が強化されたが、故障や発電停止件数はむしろ増えており、大停電を懸念する声が強まっている。
専門家たちは、冬場の電力需要ピーク期を控え供給能力が150万キロワットほどしか増えておらず、原発の運転停止と需要急増が重なれば、全国各地で停電が発生する可能性もある、と警鐘を鳴らしている。
原発事業者の韓国水力原子力によると、2日午前8時10分ごろ、釜山市機張郡の新古里原発1号機が制御棒の制御系統の故障で発電を停止した。2時間35分後の午前10時45分ごろには、全羅南道霊光郡の霊光原発5号機も蒸気発生器への送水ポンプが停止し、蒸気発生器の水位が下がったため発電を止めた。
新古里原発1号機と霊光原発5号機の発電設備容量はそれぞれ100万キロワットで、2基の容量を合わせると全体の2.5%を占める。韓国水力原子力は本部長を団長とする調査団を現地に派遣し、故障原因を調べている。再稼働には少なくとも3日ほどかかる見通しだ。
ソウル大学原子核工学科の徐鈞烈(ソ・ギュンリョル)教授は、制御棒や変圧器などの電気系統で故障が頻発していることについて「老朽化した外国製部品と取り換えられた韓国製部品が、全体の系統との連動で誤作動を誘発した可能性が高い」と指摘した。
また、エネルギー経済研究院の鄭漢景(チョン・ハンギョン)電力政策研究室長は「夏や冬の電力需要ピーク期に予備電力が不足している状況で、相次ぐ故障が電力需給への不安をさらに高めている。この冬にまた故障が発生すれば、突然大停電が起こる恐れもある」と警告した。
政府は、秋夕(中秋節、今年は9月30日)連休が終わり大半の企業が業務を再開する4日をヤマ場と見て、電力需給状況の緊急点検を実施する。知識経済部(省に相当)の関係者は「需要予測を踏まえると、4日の予備電力は540万キロワット程度と推定される。需要量は天候などにも左右されるため、原発の整備スケジュールを遅らせて約180万キロワットを追加で確保する」と説明している。(朝鮮日報)>
■釜山市機張郡の新古里原発=蔚山広域市にある原子力発電所。韓国水力原子力が所有・運転している。新古里原発は古里原発に隣接する形で建設、2011年2月末に1号機の運転が開始された。1号機の出力は約480万kW程度。
2011年12月には新古里原子力発電所で建設および稼動準備が進められている原子炉2号機(新古里2号機)の運営許可が韓国原子力安全委員会から下されている。新古里2号機は韓国標準型原子炉とよばれる加圧水型原子炉の一種で、出力は約100万kWとされている。
2012年10月2日、韓国水力原子力は新古里原発1号機の制御棒の制御系統が故障し、発電をストップしたと発表。
■全羅南道霊光郡の霊光原発=霊光原子力発電所は、全羅南道霊光郡にある原子力発電所。運営は韓国水力原子力がおこなっている。1981年2月着工し、1986年8月竣工。5号機は2002年5月に運転開始。発電機タービンに必要な蒸気を供給する装備に水を送るポンプが故障。
韓国水力原子力は「発電所の安全性および放射能漏出などとは関係がない」としているが、光州(クァンジュ)環境運動連合は「最近、原子炉の核分裂を調節する核心設備の制御棒に異常が多い」とし、根本的な原因究明を求めた。
新古里1号機の場合、昨年の稼働開始前の試験運転当時、8回の故障があったが、うち2回が制御棒の問題だった。霊光5号機も09年に制御棒の問題が発生している。特に霊光5号機は昨年2月に発電が停止し、原因を調査したところ、冷却材ポンプのモーターから30センチのドライバーが見つかり、整備がずさんだという非難を受けている。
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