10676 書評「海兵隊とオスプレイ」  宮崎正弘

オスプレイがなぜ日本防衛に必要なのかを政府は説明しなかった。この夢の輸送機は改良され、各地で大活躍している新型ヘリである。
<<北村淳編著『海兵隊とオスプレイ』(並木書房)>>
これほどタイミングのあった企画本は滅多にないだろう。
オスプレイ、オスプレイ、オスプレイ、毎日毎日トップのニュース。そして配備完了、沖縄の米軍基地にある海兵隊に配属され、これから訓練が開始される。実戦配備は時間の問題となった。
日本では左翼や中国の代理人たちの策動によって、なんだか事故機、不良品のような作為的報道がなされた。信じられない暴挙のような報道ぶりに、関係者は眉をしかめていた。
オスプレイは初期の開発段階で、たしかに事故があり、アメリカですら「未亡人製造器」などと批判が集中した。
しかし改良に改良をかさね、あのイランの屈辱から四半世紀。米海兵隊の、便利でフレキシブルで活動的なヘリが完成した。
このヘリコプターは水陸両用の軍事作戦で、小部隊の移動、負傷者の救援、食料物資運搬など、きめ細かな作戦に仕える。実際にアフガニスタンばかりか、海兵隊はハイチやイラクで大活躍の実績を誇る。
回転翼機と固定翼機の利点を組み合わせた新鋭オスプレイは、海兵隊にとって待望の“夢の輸送機”なのである。
2007年に実戦に投入されて以来、世界各地で様々な任務に従事し数々の戦功をあげたが、その現場の写真を本書ではカラーで、ふんだんに使われ、わかりやすい解説がつく。
オスプレイは人命救助にも活躍してきた。
だが、海兵隊にオスプレイが配備されるという段階になり、日本の左翼と沖縄に巣くう悪質な極左反米派、ならびに反基地闘争のプロ達は、マスコミをそそのかして“危険神話”を蒸し返す。
日本政府はおろおろとオスプレイ配備の意味、国家安全保障上の必要性を国民に説かず、いたずらに安全性の議論に熱中した。
民主党政権は防衛音痴ばかりである。だから基本を見誤り、解釈を歪めた。本書では、オスプレイの日本防衛にとっての必要性を明らかにするとともに、米海軍のオスプレイ公式ガイドブックを併せて収録している。
杜父魚文庫

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