10687 亡命の北朝鮮兵士は十七歳  古澤襄

軍事境界線(MDL)を越えて韓国に亡命した北朝鮮軍の兵士は、韓国政府の取り調べを受けているが、十七歳の若い兵士だと分かった。韓国の朝鮮日報が伝えている。
この兵士は、開城工団に出入りする韓国人や物資を統制する京義線南北管理区域内の北朝鮮側詰め所で服務していたが、開城工団に出入りする韓国人や物資を目の当たりにし、北朝鮮との格差を実感したというのが兵士の亡命の要因と告白している。
北朝鮮に詳しい消息筋は「今回の亡命は、金正恩(キム・ジョンウン)第1書記が今年7月に李英鎬(リ・ヨンホ)朝鮮人民軍総参謀長を粛清し、軍の外貨稼ぎ事業を内閣に移管するなど、軍への影響力を強化し始めたさなかに発生した」としている。
<6日に上官2人を小銃で射殺し、軍事境界線(MDL)を越えて韓国に亡命した北朝鮮軍の兵士が、韓国政府による合同審問に対し「(開城工業団地などを見て)南北の格差を実感し、北朝鮮には希望がないと考えて越境した」と話していることが7日までに分かった。この兵士は、開城工団に出入りする韓国人や物資を統制する京義線南北管理区域内の北朝鮮側詰め所で服務していたという。
政府の消息筋は同日「開城工団などを通じて韓国の状況を目の当たりにし、北朝鮮との格差を実感したというのが兵士の亡命の要因」と語った。兵士は1995年生まれの満17歳で、上官2人を射殺した経緯については「調査中」だという。
この消息筋は「北朝鮮は脱北などを懸念し、板門店や開城工団など前線の詰め所には、出身成分(階層)が最も高く、思想的にも優れた軍人を特別に選抜して配置している。今回の亡命は、金正日(キム・ジョンイル)総書記の死後、北朝鮮軍の綱紀が緩んでいることを示唆するケースではないか」と語った。過去10年間で軍事境界線を越えて亡命した北朝鮮兵士はわずか5人で、上官を射殺した上で亡命したケースは極めて異例だ。
北朝鮮に詳しい消息筋は「今回の亡命は、金正恩(キム・ジョンウン)第1書記が今年7月に李英鎬(リ・ヨンホ)朝鮮人民軍総参謀長を粛清し、軍の外貨稼ぎ事業を内閣に移管するなど、軍への影響力を強化し始めたさなかに発生した。
金正恩氏にとっては、今年4月のロケット打ち上げ失敗に匹敵する痛手だろう」と語った。金正恩氏が国家安全保衛部(北朝鮮の情報機関兼秘密警察)を訪問し「甘い夢を見ている不純な敵対分子たちを無慈悲に踏みつぶしてしまわなければならない」と指示した、と朝鮮中央通信が7日に報じたのも、6日の亡命事件と無関係ではないとの見方が挙がっている。
これに先立ち、韓国軍の合同参謀本部の関係者は「6日の日中に、京義線の南北管理区域内の北朝鮮側で6発の銃声が聞こえ、韓国側の警備兵が北朝鮮側を注視していたところ、午後12時6分ごろ北朝鮮軍の兵士1人が軍事境界線を越えて道路を走ってくるのを発見した。
拡声器で亡命の意思を確認し、12時10分ごろ身柄を確保した」と説明した。この兵士は亡命後「北朝鮮側の警備所で警戒勤務に当たっている最中に、小隊長と分隊長を射殺し、小銃を捨てて亡命した」と話しているという。
実際に、北朝鮮軍が2人の遺体を処理する場面が目撃されている。京畿道坡州市にある京義線南北管理区域内の韓国と北朝鮮のそれぞれの詰め所は約500メートル離れている。亡命の過程で韓国軍と北朝鮮軍の衝突は発生しておらず、その後も北朝鮮側に特別な動きは見られない、と韓国軍側は説明している。(朝鮮日報)>
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