10691 反日暴動は終わったが、鴻海精密工業の中国工場は暴動の最中 宮崎正弘

労働現場を魅了する麻薬「毛沢東に帰ろう。あの時代は平等だった」。シャープをのみこむ筈だった通信器機部品メーカーの暴れん坊、鴻海精密工業は息切れを見せた。鴻海の子会社が中国の富士康(フジコン)である。
先月末の山西省太源での二千人暴動につづいて、河南省鄭州の工場でも600人が暴動を起こした。一人が死亡したという情報も飛び交っているが、鴻海の中国現地法人「富士康」は「暴動は起きていない」と否定している。
数ヶ月まえに成都の工業でも千名がストライキを起こした。二年前には深せんの工場で12名が連続して飛び降り自殺した。
世界に新聞は「奴隷工場」「軍隊式スパルタ訓練」「全寮制」「夜間外出も出来ず、長時間労働がきつい」「毎月二万人がやめ、あの会社の人事部はハローワークより忙しい」「要するに人海戦術にたよっているにすぎず、成都の暴動の原因は日本からロボットをいれたから」等々、情報が入り乱れて、真相はわからないが、ふたつほど明らかになってきた事実がある。
第一に労働者の間には富裕層を嫉妬して「毛沢東時代が良かった」として、薄煕来の実験した「重慶モデル」を支持するとさえ言う。「毛沢東時代は貧困だったが皆は平等だった」。
第二は金持ちが政治家を兼ねるようになり、しかも金持ちがカネを持って外国へ逃げ出している。
飲料メーカーの大手、「ワハハ」の会長が、世界で23位、中国国内の長者番付の第一位に輝いたが、かれは全人代委員二期目である。個人資産126億ドルという。
全人代のうち70人が中国財閥百傑にはいる金持ちであり、合計で898億ドルの資産を持つ。全米の政府高官660人の資産合計は、ちなみに75億ドルである。
英国の有名コラムニストで『中国が世界を支配する日』を書いたマーチン・ジャクエスは中国が世界新秩序をつくるかのごとく予想したが、その予測は外れそうだ。
杜父魚文庫

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