米中関係はさらに険悪という感じです。
〔ワシントン=古森義久〕米国下院情報特別委員会が8日に発表した中国の大手通信機器企業の活動が米国の国家安全保障への脅威になるとする調査報告書は、これら企業が中国の共産党や人民解放軍と密接につながり、対米スパイ工作にまでかかわると指摘した。
一年に及ぶ調査を基礎に作成された同報告書は、中国の「華為技術」と「中興通訊(ZTE)」の2社の中国の共産党、政府、軍との特別な関係をまずあげて、両企業内部に共産党の委員会が存在し、企業全体が同党の意思で動くとしている。
そのうえで同報告書は華為技術の複数の元社員から同社が人民解放軍のサイバー攻撃・スパイ部隊に特別のネットワーク・サービスを秘密裏に提供していることを示す書類を入手したとしている。米側では中国軍のサイバー部隊が米国の軍や政府、民間企業に多様な攻撃をかけ、情報の取得や有事の米側のコンピューター・システムの阻害を図るという認識が官民で示されている。
同報告書はその中国側のサイバー作戦の技術面で華為技術やZTEが枢要の役割を果たすという見解を示し、同企業の製品を米側の軍や政府、民間の電力、金融などのコンピューター・システムに組み込むと、中国側の操作で有事には同システムに破壊や混乱を起こすことが可能になるとしている。この種の情報の詳細は同報告書の非公開部分に記されているという。
同報告書はまた華為技術の創業者の任正非社長が人民解放軍の出身で軍との特殊なきずながあり、孫亜芳会長が公安部とつながっている疑いが強いとして、華為側がその点での米議会の調査に応じなかったとも述べている。
その結果、同報告書は中国のこれら両企業の米国に対する活動はたとえ商業的とされても米国の国家安全保障への脅威になるとして、米国市場への参入の禁止やとくに政府や軍関連機関への調達の禁止を勧告した。下院情報特別委員会は両企業に知的所有権侵害や汚職、入国管理法違反などの法律違反の行為が多いとして米側の捜査当局にも刑事事件捜査の開始を要請したという。
杜父魚文庫
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