10785 田中法相進退問題:対応後手、広がる混乱 古澤襄

このまま臨時国会が開幕すれば、田中法相は委員会の答弁席で立ち往生するのは避けられないとあって、民主党執行部はご本人の自発的な辞任を期待しているが、田中氏の首に鈴をかける人が見当たらない。
入院先に電話した藤村官房長官は、田中氏から「辞任するつもりはない」と言われて引き下がった。そのうえ法相の後任で人材不足というから、田中法相の進退問題は後手に回って空転している。野田首相は、どう決着をつけるつもりでいるのだろうか。
<外国人献金や暴力団関係者との交際が発覚した田中慶秋(けいしゅう)法相の進退問題は、政府・民主党の対応が後手に回り、混乱が広がった。今月4日に在日外国人が経営する会社からの政治献金が発覚して2週間余り。その後、暴力団関係者との交際が表面化しても野田政権は対応を田中氏本人に委ね、「公務」を理由にした国会審議の欠席を容認してきた。法相の進退問題は、政権全体の危機管理能力を問う事態にまで発展し、野田佳彦首相を揺さぶっている。【田中成之、福岡静哉】
「一番の問題は国会に出てこいと言われて出てこなかったことだ。この一事をもって大臣として不適格だ」
自民党の石破茂幹事長は20日、鳥取県倉吉市で講演し、田中氏の国会対応を厳しく批判した。その上で、首相の任命責任について「人事が下手というレベルの問題ではない」と皮肉った。
田中氏を巡る一連の問題が与野党の主要争点となったのは、「疑惑隠し」とも取れる国会軽視の姿勢があったからだ。田中氏は18日の参院決算委員会を駐日ドイツ大使への表敬訪問などを理由に欠席。19日の参院行政監視委員会も北海道の刑務所視察を設け、欠席を試みた揚げ句、「体調不良」を理由に入院した。
政府関係者によると、国会審議欠席を巡っては、民主党側から田中氏に対し「国会に出ない方がいい」との助言があったという。党内では田中氏について「国会で答弁しても、集中砲火を浴びるだけ。欠席以外の選択肢はない」との安全策がまかり通り、説明責任を果たすよう求める意見は乏しかった。
政府の対応も後手に回った。政府内では田中氏と暴力団関係者との交際が一部週刊誌で報道された今月11日直後から「首相が辞任を促すべきだ」との意見が浮上。しかし、田中氏は9月の党代表選で首相の再選を支持した旧民社党グループの会長で、「辞任を迫る鈴付け役がいなかった」(首相周辺)という。
「病気の状況を見極めてどうするか、まずご自身が判断されることになる」
岡田克也副総理は20日のテレビ東京の番組で、田中氏の判断を見守る意向を示した。政府・民主党内には「体調不良」を理由に田中氏が自発的に辞任することで、首相への責任追及を抑えたいとの期待感もある。ただ、田中氏が早期辞任を拒み、問題が長期化すれば首相の指導力がさらに問われかねない。(毎日)>
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