10791 中国の国内3派の御用メディアが代理戦争  古澤襄

海の向こうの中国でも、胡錦濤国家主席、江沢民前国家主席、習近平国家副主席のそれぞれが、御用メディアを使う代理戦争を演じて、党大会控えた批判や牽制合戦を繰り広げている。北京から産経新聞が伝えている。
<【北京=矢板明夫】11月8日に開かれる中国共産党大会を控え、党内のポスト争いや路線闘争が大詰めを迎えている。江沢民前国家主席、胡錦濤国家主席、習近平国家副主席を中心とする3大勢力がそれぞれ、自派に近い新聞や雑誌を利用して政敵を暗に批判したり、牽制(けんせい)したりすることが増えている。共産党宣伝部の厳しい管理下にある中国の各メディアだが、実際は各派閥リーダーの出身母体の機関紙、自身のかつての勤務地や側近が主導している地域の地元紙などを中心に派閥の色があり、ニュースの取り扱いや記事の行間などから派閥との距離がうかがえる。
21日付の江蘇省の新聞「新華日報」は1面で江前主席が母校の揚州中学の創立110周年を記念し、同校のために題辞を記したことを伝えた。同紙は江氏に近い新聞として知られる。題辞は18日付で「祖国のさらなる繁栄実現のために頑張れ」などと後輩を励ます内容だった。本来ならば「全国の青少年に向けたメッセージ」として21日付の人民日報など全国紙に掲載されていてもおかしくないニュースだが、今のところ見送られている。
また、江氏が9日に北京で上海海洋大学幹部と面会したニュースは、20日になってようやく中国各メディアによって伝えられた。11日間も遅れた背景には、党大会を前に自らの健在ぶりを示したい江氏の行動を、胡主席派がメディアに出ないように抑えたものの、結局は抑え切れなかった可能性があるとされている。
一方、10月中旬には、北京紙「新京報」など複数の新聞が、インターネットで共産党一党独裁支配を批判した地方公務員に強制労働2年の刑が科されたことを取り上げ、「時代遅れで、言論の自由と法治に違反する」との趣旨の論評を一斉に掲載した。
中国メディア関係者によれば、これらの記事は、中国での言論の自由を進めるという意図ではなく、党内序列9位で治安担当の周永康・中央政法委員会書記のやり方を暗に批判することが狙いだという。周氏は江氏の腹心の一人として知られる。
9月には、習近平氏が主導する中央党学校の新聞「学習時報」で、胡錦濤氏の総書記としての10年間の実績を酷評する記事が掲載されたが、発売前に回収されたという。(産経)>
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