10819 野田総理の精神力は強靱か 前田正晶

野田総理の恥も外聞もなく且つなりふり構わぬ、何の目的があるかも見えてこない政権死守の姿勢には、最早敬意すら表したくなった。徹底した厚顔無恥の宰相振りを尊敬したくなった。
彼の批判を再三繰り返してきたが、首相就任当時に「もしかすると菅直人よりも悪質かも知れない。菅よりも狡猾かも知れない」と評したことが遺憾ながら大正解のようだ。
今の野田総理には自己目的化した政権しがみ付きの他にやるべきことを見失って、藤井裕久に命じられた「憲法違反になるような解散をするな」を守っているだけだ。
兎に角何があっても「~させて頂きました」の語法を守っていれば、低姿勢でいれば、「嵐は頭上を吹き抜けて政権は安泰だ」と思い込んでいるだけで、特例公債法案の成立以外は眼中になく、それを遅延させようとする野党のせいにして、解散引き延ばし策だけが最大の関心事のようにしか見えないのだ。
彼の頭の中には「お国のため」は欠片もなく、解散総選挙を可能な限り先送りして、その間に自民党以下が侵すであろう妨害行為?の失点を待って、諸悪の根元は野党にあって、政治をやろうとして努力している我々は無謬であると、国民の皆様が錯覚されるのを待っているだけではないのか。
対中国(尖閣を含むのは当然)、竹島、拉致問題、オスプレー等の沖縄問題を始めとして、余り票になりそうもない、元もと何の政策もない外交問題は玄葉如きに丸投げして事態を混乱させただけだ。
また、何の基本的知識も知恵もない景気対策は、勝前事務次官が退任した以上洗脳役を失って、日銀の無力総裁の無策と相まって、悪化するがままに放置した。
しかし、票になりそうな「原発ゼロ」と菅直人の悪しき置きみやげ「新エネルギー政策」(太陽光パネル)等を、好ましからぬ方向に誘導するのは忘れていない。この面では枝野経産相は大いに負の貢献を果たした。
私はこれほど国内外どころか自分の党の内部すらも満足に統治できない、消費税率引き上げ以外に無為・無策の総理大臣であり党の代表である政治家を見た記憶がない。
ただし、「近いうち解散」等では見事に野党を欺く手腕を発揮してみせる。だからこそ、輿石は彼を泳がせて国を危うくさせる片棒を担いでいるのだ。
私は矢張り彼らは来年まで居座って、野党の失点稼ぎを待っている気なのだろう。野田総理はすでに王様は裸だと気付いていないとすれば、国全体の悲劇である。私は野田総理は顔付きこそ多少厳しくなったが一向に痩せる気配がないのは、余程強靱な精神の持ち主なのだろうと思って眺めている。
杜父魚文庫

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