米ウォール・ストリート・ジャーナルは石原慎太郎氏の国政復帰をいち早く報じた。
80歳の高齢とはいえ、石原氏のネームバリューは大きい。民主党筋は「保守の石原氏が新党を作っても、影響を受けるのは自民党」と殊更に平静を装う。だが党内から石原新党に参加しようとする動きがすでに出ている。
自民党筋も石原氏について「大きなネームバリューがあり、日本の中韓との関係悪化を背景にシニア層を中心に待望論が出ていた。選挙後は、保守的な政治理念が自民党の安倍晋三総裁と近いことから、同党と連携する可能性もある」と評価してみせるが、選挙となれば別もの。東京や関東地区では警戒感がつのる。
橋下新党とは政策面で一致しない面がある。橋下大阪市長は石原氏と水面下で協議を重ねている。
石原氏の電撃辞職と国政復帰は、政界に大きな影響を与えるのは間違いない。
<東京都の石原慎太郎知事(80)は25日、都庁で緊急記者会見を開き、都知事を辞職すると表明した。新党を結成し、次期衆院選への立候補を検討する。
都知事の辞職と国政復帰を表明した石原氏は記者会見で「今日をもって都知事を辞職する。国会に復帰しようと思っている。新党を立ち上げて仲間とやっていく」と述べるとともに、国政復帰にあたり憲法改正への意欲を示した。石原氏はたちあがれ日本を母体とし、保守勢力を再結集する新党構想を進めてきた。
国内メディアによると、「日本維新の会」代表の橋下徹大阪市長は25日、石原慎太郎東京都知事の新党との連携について「まだ分からない」と話し、現時点での連携は未定との立場を強調した。ただ、石原氏とは個人的に意見交換を重ねており、「政策協議になれば、いろんな話をさせていただきたい」と含みを残した。
石原氏と橋下氏には政策面などでやや違いが指摘される。例えば、原発政策については「大きな軸や方向性が違う」としたほか、憲法問題についても、憲法破棄を主張する石原知事との間で見解のずれがある。
福島民報によると、24日に東京電力福島第1原発を初視察した石原氏は、原発事故について「冷却をしきれずに水素爆発を起こしたことは大きな反省点」と指摘。その上で、今後の原子力発電については「原発事故をもって、人間が開発した現代的な新しい技術体系を放りだすのは愚かだと思う」と述べ、原子力発電の必要性をあらためて強調した。
ある自民党筋は石原氏について「大きなネームバリューがあり、日本の中韓との関係悪化を背景にシニア層を中心に待望論が出ていた。選挙後は、保守的な政治理念が自民党の安倍晋三総裁と近いことから、同党と連携する可能性もある」とみている。
しかし、80歳と高齢であることや国政復帰に向けての組織力を持っていないことから「ブームを起こす感じではない」と同自民党筋は指摘している。
また、次期衆院選では自民・公明を中心とする連立政権が予想されており、仮に石原氏が衆院議員に返り咲いても首相に就任するとは現時点でみられていない。(ウォール・ストリート・ジャーナル)>
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10831 国政復帰の石原氏に期待するか 古澤襄

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