10872 中国の”言うだけ番長”温家宝の蓄財  宮崎正弘

西側に「中国は民主化する」と主唱した「言うだけ番長」=温家宝首相。一族の海外資産が1200億円に達したとニューヨークタイムズに暴かれて・・・。
中国では偉い人の悪口はタブーである。だからニューヨークタイムズが温家宝一族の凄まじいまでの蓄財の不適切さを暴いても、ネットからはすぐに削除され、多くの国民は知らない。
小紙は早くから温家宝首相一族の醜聞をつたえてきた。夫人は「宝石ビジネスを牛耳り、息子はインサイダー取引の元締め」だと。
温家宝首相は国際会議へでると西側の民主主義と同様な価値観を希求しているなどと演説するものだから一時期、温家首相の国際的評価がたかく、国内で「言うだけ番長」という陰口はなかなか伝わらなかった。
温家宝の母親(91歳)名義のホールデング会社は1億2000万ドルの資産がある。母親の名前だけを借りた企業というが、知らない筈はあるまい、とニューヨークタイムズが書いた。
温夫人である張培莉の個人資産は27億ドルともいわれ、04年には一時離婚説がまことしやかに語られた。巨額な資産は1998年に温家宝が副首相になった以後に形成されたから疑問を持たれても当然だろう。
海外オフショア市場の利点を駆使し、兄弟と子供らは夫人の張培莉と共に、親戚名義や友人名義の幽霊会社、ペーパーカンパニを盛んに登記し、当初の資金は「チャイナ・モバイル」(中国最大通信企業)など国有企業が手当てし、銀行、宝石、旅行代理店、通信企業、リゾートホテル、建設土木企業など幅広く経営してきた。
夫人は「宝石女王」と異名をとるほどの財閥として中国のジュエリー業界に君臨し、デビアスが中国進出にあたっては彼女のもとへ挨拶に出向いた。
温一族の建設ゼネコン企業は北京五輪の鳥の巣スタジアム建設にも関与し、ほかに「平安保険」(中国第二位の生保)との癒着ぶりはつとに有名である。
平安保険は2004年に上場して18億ドルを掻き集めたが、上場が許可されるという事前のインサイダー情報を得た親戚友人等は、これで大儲けした。
じつに政策決定を事前に取得すれば錬金術の奥義を獲得できるからだ。これってどことなくリクルート事件を連想する。
実弟の温家宏が経営する会社は汚水処理や、とくに03年SARS流の音おりには医療廃棄物処理を請け負い、政府との契約規模は3000万ドル、補助金などの情報を先に入手して大儲けをした。
なにしろ温家宝首相専管事項で諸政策を決定するわけだから、インサイダー取引にも結びつきやすい。この弟の資産は2億ドル。
▼火のないところに煙は立たない
息子の温雲松は香港財閥の李嘉誠と組んで資本金1000万ドルの技術会社を起ち上げることからビジネスをスタートさせ、「新地平線キャピタル」という私募債専門の持ち株会社を膨らませていく手法を用いた。
温雲松は温家宝・張培莉夫妻のひとり息子、米国ノースウエスタン大学ビジネススクールでMBA資格取得。40歳。「なにをしても悪く書かれるのでマスコミ取材には応じない」とニューヨークタイムズの電話取材には夫人が答えた。
中国企業の株式上場の許・認可は首相の権限である。国務院総理が企業上場判定をするのだ。だから権力には甘い蜜を求める権力中枢の兄弟親戚が群がるのだ。
習近平一族が香港で不動産投資やら印刷会社を経営した規模を越える。
一族の反論を代弁し、中国メディアは一斉に「ずっと以前からこつこつ貯めてきた資産」「ニューヨークタイムズは言いがかりをつけて、中国の顔に泥を塗った」と激しく抗議した。
しかし火のないところに煙は立たないって昔から言いませんか?
 
他方、在米華字紙の分析は「これら温家宝一族の金銭スキャンダルは対立する保守派からニューヨークタイムズにリークされた」と北京中枢の闇の権力闘争の側面を強調している。
かれらは西側メディアにつぎつぎと薄煕来、王立軍、周永康らの醜聞が漏れたのは、団派から漏洩したと信じており、その報復だという。
     
(読者の声)「中国人がアメリカの凶悪な中華封殺戦略に大混乱に陥る」中国の根本的弱点がアメリカに露呈していた!
日本政府が沖縄・尖閣諸島の国有化を9月に発表したことを受け、同諸島の領有権を主張する中国が猛反発し、両国間の文化交流を中断させるなどさまざまな対抗措置を打ち出した。
中国のインターネットでも政府の強硬姿勢にあわせて「釣魚島(尖閣諸島の中国語名)を武力で奪還せよ」と言った勇ましい「主戦論」があふれている。そんななか、「戦わずにして中国に勝てる6つの方法」という中国の弱点を指摘する書き込みがネットで話題となった。
「ヒラリー長官の警告」と題される書き込みは、米国のクリントン国務長官が訪中した際、中国の指導者に語った内容とされているが、実態は中国人のネットユーザーによる作り話とみられる。
クリントン長官は中国の指導者に対し、「貴国がフィリピン、ベトナムおよび日本と開戦すれば、米国は6つの対策を考えている。一兵卒も使わず、中国を負かすことができるだろう」と言ったという。
具体的な「対策」とは以下のようになっている。
(1)中国の政府高官が所有する海外の銀行口座の残高を発表し凍結
(2)米国のパスポートを持つ中国人官僚の名簿を公表
(3)米国に住んでいる中国人高官の家族の名簿を公表
(4)ロサンゼルスにある「妾村」を一掃
(5)米国在住の中国人高官の家族をグアンタナモ刑務所に収容
(6)中国国内の失業労働者などの不満分子に武器を提供。
内容は若干の重複があるが、今日の共産党政権の“アキレス腱(けん)”を見事に指摘した書き込みといえる。
少し説明すると、今日の中国では、家族と財産を海外に移し、本人がいつでも逃亡できるように外国のパスポートを持っている共産党幹部が多くいる。
中国の捜査機関がなかなか手を出せないとの理由で、高官家族の移住先として圧倒的に人気が高いのが米国だ。
例えば、高速鉄道建設に絡む汚職事件で昨年に摘発された張曙光・元鉄道省運輸局長は米国で3軒の高級邸宅を持っているほか、米国とスイスで28億ドルの預金があると報道されている。
張元局長のケースはあくまで氷山の一角といわれている。米国が中国の政府高官の海外財産のリストを公表すれば、共産党政権への中国民衆の怒りは一気に噴出するに違いない。中国内部が大混乱することは必至で、外国と戦争をするところでなくなる。
またハーバード大学に一人娘を留学させている習近平国家副主席を始め、多くの中国の指導者の身内が米国内にいる。すでに米国に“人質”を取られているといえ、中国の指導者は米国に強く出られない事情がある。
「ロサンゼルスの妾村の一掃」とは、多くの高官は妻を米国に移住させたほか、愛人にも米国の豪邸を買い与えている。
それがロサンゼルス周辺に集中しているため、ネットでは「ロサンゼルスに中国の妾村ができた」と揶揄されている。妻よりも愛人を大事にしている高官が多いため、家族だけではなく愛人を一緒に刑務所送りすれば、中国高官たちへ与えるダメージはさらに大きい、ということを言いたいようだ。
最後にある「不満分子に武器を提供する」というのはシリアの反政府勢力に欧米が武器を提供したことからえた構想のようだが、中国当局が一番恐れる措置かもしれない。
中国国内では、土地の立ち退き問題などで毎年20万件以上の暴動が起きているとされており、不満分子に武器が提供されれば、人民解放軍を相手にたちまち内戦が始まりそうだ。
「ヒラリー長官の警告」は多くの中国国内のサイトに転載されている。「恐ろしい。戦争ができないのではないか」「これらのアイデアを絶対にアメリカに教えてはダメだ」といった感想が寄せられている。(壊龍)
(宮崎正弘のコメント)凄いアイデアの羅列ですね。日本にはかつて台湾高官の妾がかなりいたようですが、台湾も経済成長の結果、売春婦が激減し、いま最下層の売春婦は中国大陸から密入国で台湾に出稼ぎにきています。おそらく一万人といわれています。
杜父魚文庫

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