さあ、どちらが勝つのか。読むのが難しいアメリカ大統領選です。
そのうえにまたハリケーンの襲来と大被害とが重なり、最終段階の選挙キャンペーンにどう影響するかが論じられています。そのハリケーン襲来の直前にこんな記事を書きました。
<<【2012 米大統領選】長所アピールより中傷合戦>>
■自陣結束に一定効果、過剰なら反発も
【ワシントン=古森義久】大詰めを迎えた米大統領選挙で自分の長所を宣伝するかわりに相手候補への非難ばかりを強調する「ネガティブ・キャンペーン」が圧倒的に多くなっている。この「否定的な政治宣伝」の効果はある程度立証されているが、限度を超えると宣伝を流した側に不利に働く危険もあるという。
投票日まで10日足らずとなった大統領選では、民主党候補のオバマ大統領と共和党候補のロムニー前マサチューセッツ州知事が流す政治コマーシャルの8、9割がネガティブ・キャンペーンとなった。
オバマ陣営は投資企業を経営していたロムニー氏を「特定企業を冷酷に倒産させ、失職した家族を貧苦に追い込んだ吸血鬼」と評し、「中国投資での利益を国家の安全よりも優先した」と非難。またロムニー氏の外交での経験不足をとらえ、「ロムニー氏の『ロシアが世界最大の敵だとは非現実的』との発言は非現実的だ」と糾弾し、女性観や高所得層への増税反対も頻繁に攻撃している。
ロムニー陣営もオバマ政権の4年間の統治を「財政赤字半減の公約を破り、失業率を高めた」と非難する広告をしきりに流す。オバマ氏再選となれば「債務は20兆ドルまで増え、国防予算は5千億ドルも減り、米国の軍事力が骨抜きになって、世界の危機が高まる」と「負」の展望を強調する。
大統領選でのネガティブ・キャンペーンの歴史は長い。最も有名な例の一つは1964年に民主党ジョンソン候補が共和党ゴールドウオーター候補に対して流した、花びらを一枚ずつ数えながらちぎる少女の声が核ミサイル発射のカウ ントダウンにつながる広告だ。冷戦中のソ連への強硬策を唱えるゴールドウオーター候補が当選すれば、核戦争になるというメッセージで、同候補は大敗した。
シカゴのドポール大学のマイケル・メジー教授は今回の大統領選ではネガティブ・キャンペーンが過密だと指摘しながらも、「自陣営の支持者を団結させる点で 一定の効果がある」と述べる。他方、マイアミ大学のジュリアナ・フェルナンデス准教授の調査では、ネガティブ・キャンペーンの内容が過激や乱暴になりすぎると、視聴者側に反発が起きるという結果も出た。
こうした一長一短のためか、オバマ陣営ではネガティブ・キャンペーンをやや後退させ、「再選後の政策」をまとめた20ページほどの冊子を作って大量に配布する動きも出ている。
杜父魚文庫
10887 アメリカ大統領選、ぎりぎりの戦いで 古森義久
古森義久
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