アメリカのニクソン政権も実は当初は日本の尖閣諸島への主権を認めていたという報告の続き、というより完結部分です。
アメリカが他の諸国間の領有権紛争にかかわらないというのは、理解できる主張です。しかし尖閣諸島の場合は例外です。
アメリカが尖閣諸島を長年、統治していた事実があるからです。
しかもアメリカは尖閣を日本に返還したのです。いくら施政権だけの返還だといまになって主張しても、当時は主権も日本に返すという認識があったことが多数の記録によって証明されているのです。
ここで紹介したニクソン・キッシンジャー対話の記録もその一つです。日本政府はこの歴史的な事実を対外主張で活用すべきです。
<<大統領執務室で何が語られていたのか?「尖閣は日本領」と認めていたニクソン政権>>
ニクソン 「だから現在の対応があるということなのだろう」
キッシンジャー 「問題は、もし米国がいま日本側に対して尖閣の主権の問題を提起した場合、日本側は米国が台湾との繊維問題の取り引きを成立させるために、日本領の島を中国側に与えてしまう、と思いかねません」
<明確に尖閣を日本領と認めていたニクソン政権>
以上の記録からニクソン政権も当時、尖閣諸島を日本領だと認めていたことが再三、明らかにされたと言える。
だが1971年4月に台湾(中華民国)の代表が突然、尖閣の主権の主張をニクソン政権に伝えてきた。それまではニクソン政権の側にも、日本の残存主権への疑問はツユほどもなかった。
台湾代表の通告の後も、この会話の時点ではなお、ニクソン政権は日本の尖閣主権について疑問などを提起する意図はなかった。その判断をキッシンジャー大統領補佐官がニクソン大統領に説明し、同大統領も同意しているのがこの会話の核心なのである。
しかし前述のように、この会話から4カ月半ぐらい後の1971年10月下旬の上院公聴会の時点では、ニクソン政権は尖閣の主権については、「立場を取らない」というふうに変わっていった。この4カ月半の期間に、明らかに何かが起きたわけだ。
だがそれでも日本にとってはニクソン政権をも含む米国の歴代政権が尖閣諸島への日本の主権を認めていたという歴史的な経緯は大きな重みを持つ。今回、詳しく紹介した記録は、その重みを立証する貴重な資料だと言えよう。(終わり)
杜父魚文庫
10907 アメリカの尖閣への日本主権認定を宣伝しよう 古森義久

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