昨日は、野田佳彦首相が「嘘つき」であるかどうかについて、与野党で舌戦というか鞘当てがありました。まず、NHKの番組で自民党の安倍晋三総裁が次のように指摘しました。 「(近いうち解散の約束を守るのは)野田さんにとって総理は嘘つきではないということを証明する最後のチャンスだ。
この最後のチャンスは野田さんに是非生かしていただきたい」 「(解散の約束を破れば)その責任は野田さんが背負うわけだ。史上稀に見る、まったく自分が言ったことに責任を取らない、国民に向かって嘘をついた総理が誕生する。
彼は自衛隊の最高指揮官だ。彼は観艦式で『至誠に悖るなかりしか』、『言行に恥ずるなかりしか』と国のために命を懸ける自衛隊の諸君に対して訓示をした。
私は野田さんに、このままでは自衛隊の諸君に対して恥ずかしい総理になる。そんなことがあってはわが国の安全保障にも影響してくる。だからこそ、野田さんに正しいまっとうな王道を歩んでいただきたい。でもそれができるのは野田さんしかいない。残念ながら」
私はこれを聞いて何の違和感も覚えず、ごく常識的な言い方だと理解したのですが、これに対し、岡田克也副総理はカチンときたようです。やはり昨日に早稲田大で行った講演の質疑で、安倍氏の発言にこうかみついています。
「今日も安倍さんがちょっと言われていたが、一国のトップを嘘つき呼ばわりする。こういうことはお互い避けなきゃいけないことだと思う。やはり、日本の国そのものをある意味で貶めていることになるということだと思う」
「野田さんなんか、すごくかわいそうで、野田さんも親から嘘をつくなというふうに教えられた人なんですね。だから日本の総理を嘘つきとかね、ああいうのはどうなんですかね。やはり日本全体を貶めているような気がしますよね、と私は思うが」
……岡田氏は一見もっともらしいことを言っていますが、実は全然的外れで、かつ自分勝手な言い分だと思います。第一、野田氏自身、党広報委員長だった2008年12月9日、一国の首相(麻生太郎氏)に対してこんなことを言い放っているではないですか。他者に「礼」を求めるのであれば、まず自らが実践していなくてはなりません。
「海の向こうの(米国の)新しい大統領はオバマさん。わが国の首相が『おばかさん』では、100年に1度という国難を突破することはできない」
岡田氏のいう「避けなきゃいけないこと」をやってきたのは、まず民主党だと認めてから言うべきです。
また、岡田氏は野田氏の嘘を指摘することが「日本を貶めている」と述べていますが、ふざけないでほしい。一国のリーダーが率先して嘘をつき、恬として恥じず、しかもそれを自己正当化する姿をこの3年間ずっと見せられ続けてきた国民の方が、民主党政権によって貶められてきたというのが実態でしょう。
さらに、言うにことかいて「野田さんがかわいそう」というのは何ですか。嘘つきを嘘つきと呼ぶのは正しい評価であり、正しい呼称であって、そう言われるのがイヤなのなら、嘘をつかなければいいだけです。仮に本人にとって不本意であっても、自分のしでかしたことの当然の報いを受けているにすぎません。嘘をつかれた側の国民に同情すべき理由はありません。
私は繰り返し指摘してきましたが、民主党政権は菅直人政権のときに2度にわたり、「閣僚が国会で虚偽答弁しても政治的・道義的責任が問われるかどうかは『場合による』」というとんでもない答弁書を閣議決定しています。つまり、堂々と嘘答弁をしますよ、と全閣僚が署名して決めているわけです。
菅氏に至っては、前任者の鳩山氏からはっきり「ペテン師」と呼ばれていましたね。それが民主党であるにもかかわらず、岡田氏は何を今さらぶうぶう言っているのか。
自分たちを世間がどう見ているのか分からないというのは、アルジャーノンの例を持ち出すまでもなくある意味、幸せなことです。
そしてこの答弁書には財務相だった野田氏も署名しているはずです。本当に子供の教育に悪い、子供にはとても見せられない政権のありようですね。まあ、日教組の親玉が実質的に仕切っている政権なので、それも当然のことかもしれません。なんだかなあ。どうしたものかなあ。
杜父魚文庫
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