石原慎太郎・前東京都知事と渡辺喜美・みんなの党代表が8日会談した。第三極の連合を模索する石原氏が始動したが、その一方で自民・民主・公明三党の連携を模索する水面下の動きもある。
第三極の連合は政策面での一致が難しい筈だから、むしろ自民・民主・公明三党の連携を模索する動きの方に注目したい。ある意味では、第三極の動きが活発になれば、既成政党三党の連携が俎上にのぼる政治力学が働くとみている。
自民党の安倍総裁・石破幹事長が硬軟取り混ぜた戦術で野田首相に年内解散・衆院選挙を迫っているが、これとは別に池田元首相が作った政策集団・宏池会と民主党の財務省グループの間に「社会保障・税一体改革」を確かなものにする接触がある。
宏池会の会長・岸田文雄、派閥の座長・林芳正らと民主党の藤井裕久らとの間には、選挙で自民党と民主党が争った後に両党と公明党が協力して「社会保障・税一体改革」を成し遂げた三党合意の精神に立ち戻り、第三極と対峙する考え方が浮上している。
<新党結成を表明した石原慎太郎前東京都知事とみんなの党の渡辺喜美代表は8日、国会内で約40分間会談し、次期衆院選での連携を視野に協議を継続していくことで一致した。
会談は、民主、自民両党に対抗する「第三極」の大連合を主張する石原氏の呼び掛けで実現。日本維新の会代表の橋下徹大阪市長も8日の記者会見で、みんなの党と石原新党との連携について「(3党が)一つにまとまるなら、一本化しないといけない」と3党の連携協議を呼びかけた。
ただ、連携のイメージづくりが先行している状況で、政策の違いなど、今後のハードルはなお多い。【坂口裕彦、福岡静哉】
「強いしたたかな日本を作ろうじゃないか」
石原氏は8日の会談で大連合を呼び掛け、渡辺氏も「大変結構だ」と応じた。渡辺氏は東京都知事選(29日告示、12月16日投開票)で、石原氏が後継指名した猪瀬直樹副知事が立候補した場合の共同支援を「お試し共同作業」として行い、国政連携につなげていくことを提案。東京電力福島第1原発事故を受けた発送電分離など政策の共通化を図る狙いがあり、石原氏も「それはいい考えだ」と応じた。
渡辺氏は、石原氏が親友だった父親の渡辺美智雄元副総理(故人)を登場させた本を手に「お礼を申し上げた」と記者団に述べ、石原氏との個人的つながりもアピールした。
しかし、渡辺氏は連携に向けた協力を「お試し期間」「まずはお付き合い」などと表現した。みんなの党と石原新党の母体となるたちあがれ日本の間で原発などの政策の隔たりがなお大きいためだ。たちあがれ側にも慎重論は強く、石原氏の思いはやや先走り気味だ。
一方、8日には、みんなの浅尾慶一郎、維新の浅田均両政調会長が、次期衆院選での共通政策について国会内で協議し、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への交渉参加など2項目で合意。両党は政策が近く、原発政策などでも今月中の合意を目指す。
しかし、維新が次期衆院選で全都道府県の小選挙区の1区に独自候補を擁立する方針を示し、みんな幹部から反発も上がった。たちあがれの園田博之幹事長も7日の記者会見で「維新の政策を念頭に新党を作ることはない」と、独自性を重視する考えを強調している。9日には、維新とたちあがれの政策協議もスタートするが、たちあがれ幹部は「どう進むかさっぱりわからない」と漏らしている。(毎日)>
<民主党は8日、前国会から継続審議になっている国民年金法改正案について、過去の物価下落時に年金給付額を据え置いた「特例水準」措置を解消する施行日を2013年10月1日に改める方向で自民、公明両党と調整に入った。民主党は、自公両党の合意を得て、今臨時国会で法案を成立させたい考えだ。
年金給付額は物価に連動して決まるが、物価が下落した2000~02年度に特例的に据え置いた影響で、現在の支給額は本来よりも2.5%高くなっている。法案は、この2.5%分を3段階に分けて減額し、元の水準に戻すと規定。しかし、今年10月1日としていた施行日が継続審議のため過ぎてしまい、改めて定める必要があった。(時事)>
<本来より2.5%高い公的年金の支給水準の是正に関し、民主党は8日、当初案より1年遅らせて13年10月から減額する方針を固めた。14年度末まで3段階で計2.5%引き下げ、本来水準に戻す。
カットを1年延期すると約1兆円の「払い過ぎ」となるものの、減額に反対する公明党に配慮し、次期衆院選や来年夏の参院選後に先送りした。民主党は政府提出の国民年金法改正案を修正する意向。自民党も応じる方向で、同法案は15日に衆院を通過し、今国会で成立する見通しだ。
公的年金の支給額は物価の変動などに連動して決まる。だが、00〜02年度は物価が計1.7%下がったのに、当時与党だった自民、公明両党は高齢者への配慮から年金額を据え置いた。
現在の年金額は本来より2.5%高く、累積の過払い額は約7兆円に達した。政府は今年10月から3年で2.5%減額する方針を決定。12年度は0.9%、13、14年度は0.8%引き下げるとし、先の通常国会に同改正案を提出したが継続審議となっている。
その後、民主党は来年4月からの引き下げも模索したが、結局来年10月からとした。13年度後半と14年度前半に1%ずつ、14年度は後半にさらに0.5%引き下げる。時期を遅らせる分、本来水準に戻す期間を3年から2年に短縮し、年金財政への影響を抑える。
1%の減で支給月額は国民年金(満額約6万5000円)で約650円下がり、最終的には1600円程度の減額となる。
厚生年金(標準世帯の夫婦2人分、約23万円)は1%減なら月に約2300円の減で、最終的には約6000円の引き下げとなる。(毎日)>
杜父魚文庫
10949 第三極:石原、渡辺氏が連携協議 古澤襄

コメント