10976 中国、イランの「蜜月」が劇的に変化の兆し  宮崎正弘

イラン石油輸入は50%減少し、イラン経済の苦境鮮明。
2011年7月、中国はそれまでの蜜月関係に終止符を打って、イランからの石油輸入を減らした。最近までに50%激減、やや修正があっても、統計的には25%減となった(アジアタイムズ、12年11月10日)。
他方、中国のインフラ投資は緩慢に減少しているが、テヘランなど主要都市における建設は中国企業が請け負っている。
しかし中国との関係が冷却化するとなれば、イランの通貨が下落するのは当然であり、中国からの日用品、加工食品も猛烈なインフレに襲われるようになった。
イランと中国の貿易は300億ドル前後、中国からイランへの投資は400億ドル以上に達している。とくに中国はイランの核開発を支援してきた。イスファファンの核施設は中国の技術が提供されている。
その中国とてイラン経済が沈降すれば、進行中のインフレ建設も将来の支払いに不安が生じる。
石油生産世界四位、ガス二位という資源大国イランは、1970年代後半からの対米関係対立、冷却化、そのごの西欧同盟はイラン経済制裁を強化したため、わずかにトルコ、ブラジル、インド、そして中国との貿易に依存してきた。とりわけ中国が2007年から貿易相手国ナンバーワンとなっていた。
欧米との対峙を辞さないアーマドネジャッド大統領は、欧米との関係をやや冷静にとスタンスの異なるハタミ、ラフサンジャニなどの政界実力者とも対立してきた。
ペルシア帝国の再来を夢見るかのように米国との鮮明な対立路線を継続するアーマドネジャッド大統領にはイラン国内での批判も急増した。経済がガタガタになり、国民の不満がたかまって、イランは政治危機を迎える。
杜父魚文庫

コメント

タイトルとURLをコピーしました