11003 この習近平政権は頭だけ自派だが、実働部隊は殆どが団派 宮崎正弘

胡錦涛は名を捨てて団派(共産主義青年団)が実権を事実上掌握したのではないか?
誰もが驚きと失望の中国トップセブン。江沢民派と守旧派の太子党が寡占し、団派は李克強ただひとり。
失望が拡がった。この陣容では「汚職追放、改革」どころか特権階級の権利維持、利権確保の守旧政治、やっぱりそうか貴権階級の特権維持だけが目的の執行部であると国民は認識するだろう。世界のチャイナタウンを含めると地球的規模の失望が拡がった。
期待をもたれた李源潮、王洋、劉延東は全員が「落選」し、守旧派系で江沢民の腰巾着らが中国の最高指導者に分け入った。
次の五年を舵取りするチャイナセブンは習近平、李克強、王岐山、劉雲山、張高麗、張徳江、愈正声。
前者二人だけが五十代、残り五人はいずれも六十代後半、つまり次はない。一期だけである。
団派は今大会では先輩等の顔を立てたが、トップの多数派は譲っても、政治局全体では過半に近く、しかも、中央委員会のなかで団派は五十人の大所帯となって五年後に権力を太子党からもぎ取る構えに入ったようだ。
それにしてもこのメンバーでは新鮮さが感じられず、改革も遠のき、いずれもがリーダーの資質を欠き、中国の未来は急速に暗い印象となった。
政治局25名の色分け(*印は政治局常務委員)
習近平派 習近平* 王岐山* 劉雲山* 張高麗* 張徳江* 
李克強派 李克強* 李源潮 王炉寧 劉延東(女) 劉奇保 許其亮 王洋 胡春華 栗戦書 郭金龍 馬凱 張春堅
上海派(江沢民派の影響が強い) 愈正声* 韓正 孟建柱
不明或いは中立  氾長龍 李建国 趙楽際 孫春蘭(女) 孫政才
こうみると、政治局全体25名のなかで、李克強がこれから率いることになる団派は多数派を占めていることが分かる。
下馬評で政治局入りするとされた陳明銘と周強は「落選」。ただし周強は最高裁のトップに回るとされる。
また予測されたように胡錦涛の秘蔵っ子だった令計画は政治局員からも漏れた。
胡錦涛は「見えない院政」を敷いたフシがある。
第一に政治局常務委員の王岐山、劉雲山、張高麗、張徳江、愈正声の五人は60歳代後半で「次」がない。五年後に焦点をあてたとすれば、次の五年間に中国の政治決定、政策を主導するのは政治局の中堅どころ、すなわち李克強以下の団派で李源潮、劉延東、王洋の「三羽がらす」(いずれも政治局常務委員にはなれず)に加えて、首都北京の書記を担う郭金龍、中央弁公庁主任となって習近平の官房長官訳をつとめる栗戦書、軍の制服組の事実上のトップ(副主任)となった許其亮、そして軍との連絡調整役という中枢を担う劉奇保と、いずれもが団派であり、五年後にはいきなり第六世代のチャンピオン胡春華を浮上させるというビジョンがあるのではないのか。
第二に北京、上海、天津、重慶という四大都市と広東省深センという中国の中でも顕著な繁栄都市は上海をのぞいて団派人脈がおさえた。
第三に胡錦涛が党の軍事委員会主任も降りたのは、江沢民の院政に終止符を打つための道連れであったとするなら、飾りの主任となる習近平のまわりを囲むのは胡錦涛派ばかり。
副主任の許其亮が主導権をにぎり、参謀部、政治部も団派。
予算を認めれば第二砲兵(戦略ミサイル軍)も、いずれ団派主導に追随せざるをえず、軍内で団派の大物、劉源と張海陽がメンバー入りから外され、習近平に近い太子党が得たのは総後勤部と総装備部、国防部長となった常万全は江沢民派だが、しょせん、軍のなかで国防部長は飾り、実力は総参謀部長、総政治部長に比べるとかなり低い。
杜父魚文庫

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