経済対策ゼロの習近平新政権へマーケットから皮肉の「御祝儀」。
反日がずしりと祟った。中国の製造業不振、輸出陥没、積み出し港に在庫の山。町は失業者の洪水。反面で海外投資家の市場からの撤退。自動車産業の不振。不動産は大量に売れ残り、多くの開発区はゴーストタウン化している。
11月27日から始まった上海株式市場の下落は09年1月以来の2000ポイントを割り込んで三日続落し、29日は1963.49ポイントとなった。他方、日経ダウは、次の安倍政権が視野にはいり、連騰を続けていて実に対照的である。
上海株の銘柄のなかでも、とりわけ資源株が続落し、ペトロチャイナが12・6%下落、シノペックが18%下落を示し、エネルギー消費の急激な落ち込みを象徴している。対中輸出で気を吐いてきた英豪企業「リオ・テント」社は鉄鉱石の減産を表明している。
もっと象徴的な現象は「香港ディズニーランド」の不振である。
いまや客足も減退、中国大陸からの観光客だけで持っているが、東京ディズニーランドに比べると規模が小さく、アトラクションが少なく、まるで魅力がないからで、営業続行が危ぶまれているとウォールストリートジャーナル(30日付け)が報じている。
ピーク時に6000ポイントだった上海株指標が三分の一以下に割り込んで、成長中国の神話が終了したことをいみじくも物語った。
経済無策の習近平新政権へ、これはマーケットからの皮肉な御祝儀ではないのか。
(読者の声)貴誌26日号で、中国空母からの戦闘機離着艦を受けて、「中国海軍は画期的な段階に進んだ」と書かれていました。その後、誰かから指摘があったか否かわかりませんが、実態は以下の通りですので、お伝えします。
『尖閣を獲りに来る中国海軍の実力』(小学館101新書)の著者・川村純彦氏は「果たしてJ-15が発艦できる日がくるだろうか」と書いています。確かに中国海軍は11月25日に「遼寧」から発艦、着艦はできたわけです。
しかし、その少しあとに川村さんはこうも書き加えていました。「果たしてJ-15を艦載機として作戦行動が行えるだけの装備をして発艦させられるだろうか」
映像を見たのですが、ミサイルも燃料タンクも積んでいるように見えませんでした。川村さんに確認したところ、やはりそうでした。
「脚のショックアブソーバーを見ればわかりますが、普通、作戦装備をすると重さで機体が沈み込みます。ところがあのJ-15はショックアブソーバーが伸びています。つまり、おそらく燃料もほんのわずかしか搭載せず、上げるだけ上げたということでしょう。ソ連の同型艦が99年10月と04年11月にSu-33で最小限の燃料で発艦後ただちに着艦しました。
それを今回中国がコピー機でやれたということです。装備のない戦闘機が飛び立てても何の脅威もありません。東南アジア諸国はともかく、海自の作戦には全く影響ありません」とのことでした。
もちろんフル装備の艦載機が飛び立てるようになれば、日本にとっても脅威になると思いますが、それはかなり先か機種を変えない限り無理のようです。
それから「遼寧」にはカタパルトはありません。「遼寧」はアメリカ海軍の空母機動部隊という機能は持てないそうです。
では何に使うのか、というと、南シナ海に潜らせている大陸間弾道弾を積んだ中国の潜水艦の守備用だそうです。ソ連の空母もその役割でした。ほとんど無意味でしたが。
有事に「遼寧」は外海に出られません。中国海軍は対潜能力が決定的に弱いので、外海に出たら海自か米軍の潜水艦にすぐ沈められてしまいます。それくらいは中国海軍もわかっているので、中国本土からの中国軍機の作戦範囲からは出られないはずです。
したがってアメリカの空母機動部隊のように太平洋を遊弋する、というのは平和時だけだそうです。(佐藤幸一 小学館出版局プロデューサー)
(宮崎正弘のコメント)貴重な情報を有り難う御座いました。川村さんの前掲書、小生も読んで大いに参考になりました。
杜父魚文庫
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