11178 中国のジニ係数は革命の前夜の指数   宮崎正弘

中国のジニ係数は0・61 驚きを越える不平等社会に転落していた。「世界最悪」でもあり、「史上最悪」でもあり、内乱、革命の前夜の指数。
12月10日の中国各紙が一斉に報道した「ジニ係数」は脅威の数字だ。「世界最悪」であるばかかりか、これは「史上最悪」である。明日にも内乱、革命が起こっても不思議ではないだろう。
0・61というのは中国の冨の61%を特権階級が独占していることを意味し、しかも貧富の格差が拡大しているにもかかわらず、民意を無視し、民衆の抗議を弾圧し、言論を封殺し、独裁を強固にしている。
そのうえ特権階級は資産を海外へ巧妙に移動し、一族郎党は海外へ秘かに移住したか、あるいは二重国籍を取得した。まさにヒラリー・クリントン国務長官が予測したように「二十年後の中国は世界最貧国に転落している」だろう。
ところが中国が「2030年以前に米国を経済で抜き去るだろう」とする予測が、米国のシンクタンク(超党派の世界情報評議会レポート)が発表した。詳細はヘラルドトリビューン(12月11日号)に詳しいが、簡約すると、次の通りである。
「2030年以前に中国は米国を抜くが、しかし米国の指導的位置には代わりはないだろう」
「世界的には中産階級が肥大し、大きな安定要因となる」
「だがアフガニスタン、パキスタン、ブルンジ、ルワンダ、スーダン、ソマリア、ウガンダ、イエーメンなど十五の国家が崩壊するだろう。米中は、なかでもパキスタンの核兵器管理に大いなる関心があり、共同管理体制の話し合いが進むだろう」
「およそ五十の国々で内乱、内戦、あるいは国境紛争による戦争、地域紛争がおこる可能性が残る。とりわけ中近東では核兵器を用いた戦争に発展する危険性がある」
「日本と西欧諸国、韓国、台湾では老齢化が深刻化し発展速度が停滞するだろう」
「米国は(シェールガスなどにより)資源自給体制に移行し、ロシアは(従来の原油、ガスなどの)資源価格の下落により緩慢な衰退の趨勢にあると見られる」
 
中国のジニ係数発表の同じ日に、深刻さとは対照的な、こうした楽天的報告が米国から出されたのは皮肉である。
杜父魚文庫

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