11212 北朝鮮の核とミサイルはアメリカの最大課題に 古森義久

北朝鮮のミサイル発射の「成功」は東アジアだけでなく、世界の安全保障の構図を揺るがせることにもなりそうです。そうした予測が実際の発射の前から語られていました。アメリカの朝鮮専門家ビクター・チャ氏の分析です。
<日本にも米国にも脅威となる北朝鮮のミサイル発射  なぜこのタイミングで発射実験に踏み切るのか?>
「2012年4月の実験では、北朝鮮当局は外国の報道陣を招待し、発射の様子を公開したが、今回はそうはしていない。今回は発射の予定自体をまだ自 国民一般向けにさえも発表していない。この態度は、北朝鮮当局が再度の失敗を極端に恐れているか、あるいはその結果にかかわらず、とにかく成功だとして事後に発表する構えであることを示している」
では北朝鮮が成功、失敗を問わず、とにかく発射実験へと踏み切った場合、どんな情勢が生じるのか。チャ氏の予測は次のようなものだった。
「天候の状況などから考えると、北朝鮮の公表通りに12月10日から22日までの間にミサイル発射をする見通しは高い。その場合、すぐに起きる確実な反応としては、米国と韓国が連帯して国連安全保障理事会で北朝鮮を糾弾するだろう。その結果、国連安保理が新たな非難決議案を成立させ、北朝鮮政府自体だけでなく、北朝鮮の兵器開発に関わっている諸外国の政府機関や企業への追加制裁が採用される確率が高い」
では今回の実験が成功だった場合はどうなのか。チャ氏は次のように見通す。
「もし北朝鮮がロケットである『衛星』を軌道に乗せることに成功すれば、長距離弾道ミサイルの能力構築への主要な障害を乗り越えたことを意味する。より具体的には核弾頭の装備を目指してのICBM能力で主要な前進を達成したことになるわけだ。
その成功は米国本土への北朝鮮の直接の脅威にもつながるため、オバマ政権にとっても北朝鮮のミサイル・核開発は国家安全保障上、最大級の課題となる。オバマ大統領自身はこれまで北朝鮮のミサイル発射に対して直接的な警告を言明していないが、そうした状況も一変するだろう」
当然ながら北朝鮮のミサイルや核兵器の開発は日本にとっても直接の重大脅威となる。まして日本は北朝鮮に対し、日本国民拉致という特殊な未解決事件を抱えている。
北朝鮮の動向には米国以上に敏感かつ敏速に応じなければならない。そのためには超党派の官民挙げての冷静な研究と分析に加えて、最大限の防衛措置や抑止措置が欠かせないことは、言うまでもない。そうした作業を進めるうえで、米国側のこうした分析は貴重な指針となるだろう。(終わり)
杜父魚文庫

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