11216 一時的な”衆院による一院制”が生まれるか  古澤襄

米紙・ウォール・ストリート・ジャーナルが、自民党が地滑り的勝利を収めそうな勢いで支持を伸ばしており、政権を奪還した場合に連立が予想される公明党と合わせると、定数の3分の2に当たる320議席を確保する可能性も出てきた。そうなれば過去数年間に先送りされてきた重要法案の成立が容易になる・・・と予測したのは、多分に米国側の期待値であろう。
衆院480議席の三分の二以上321議席を自公両党が獲得すれば、参院で否決された法案を衆院で再可決し、いわゆる「ねじれ国会」の手詰まりを解消することが可能となる。言うなら一時的な”衆院による一院制”が生まれる。
民主党が大勝した前回の衆院選では308議席、その後の菅内閣の参院選で民主党が大敗したので、衆参の「ねじれ」が生まれて”決められない政治”に民主党政権が苦しんだ。
多くの世論調査で自民党が単独で300議席近くを獲得する見通しだと占っているが、過去の衆院選予測でも事前に大勝を予測された結果、フタを開ければそうはならないケースが多々ある。だから今回の衆院選も軽々に自公両党で衆院定数の3分の2に当たる320議席を確保すると断定は出来ない。
もうひとつのケースがある。自民党が単独で300議席近くまで大勝し、日本維新の会が50議席近くの勢力になれば、自民・維新で衆院480議席の三分の二以上350議席の大勢力となる。まさに改憲勢力が戦後初めて国会で主導権を握る。改憲に慎重な公明党は、自民・維新に背を向けるであろう。
”自民大勝 民主大敗”という通り言葉だけで律しえない戦後初の衆院選だということを有権者がどれだけ認識しているだろうか。ハト・カン・ノダ民主党政権のダッチロールが、この政治状況を生んだとすれば、これほど皮肉なことはない。
杜父魚文庫

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