11234 市場は安定政権を好感し株高・円安を予想   古澤襄

「自公で320議席超獲得、民主大敗・維新は第3党」という選挙結果に外国はどうみているのか?すぐ中国や韓国の反響を四段抜き、五段抜きで誇大報道したがるサヨ・メデイアがあるが、世界の眼はそんな”単眼”ではない。
英ロイターは、日本政治の変化を客観的に報道している。とくに「自民党大勝について市場では、安定政権を好感し株高・円安を予想する声が上がる一方、積極財政への懸念の声が聞かれた」と伝えた。
「デフレを脱却する前に財政出動や超金融緩和政策の副作用で長期金利が上昇してしまうリスクは排除できない」など、積極財政への懸念の声が上がっている・・・ことを注意深くみながら、安倍内閣は経済の慎重な舵取りが必要となろう。
安倍内閣の誕生で、日本政治は極右路線をひた走るとステロ・タイプの古典的な論評をしたがるサヨ・メデイアは、枯れススキをお化けに見立てて騒ぎ立てるに等しい。
こんどの衆院選で自民党が大勝できたのは、一選挙区で二万から三万の公明党・創価学会の支持票があったことを考えてみる必要がある。”脱公明党”は言うに安く、現実にはドップリ漬かった自民・公明の関係を、一夜で解消することは出来ない。それが可能なら連立相手に日本維新の会を選んだ筈である。
いわば安倍内閣は、改憲に慎重な公明党・創価学会という”重し”を背負って政権の運営に当たる。極右路線に大きく傾くことなどはあり得ない。国民もナチス・ドイツにような極右政権を望んではいない。
安倍政権に期待しているのは、目下のデフレ脱却であり、国民福祉の安定的な維持であろう。同時に尖閣問題、北朝鮮のミサイル発射などに曝された日本の防衛を強化する施策である。いたずらに極右政権と断じて、攻撃的な筆誅を加えるサヨ・メデイアに国民は踊らされてはならない。
[東京 17日 ロイター]16日に投開票が行われた第46回衆議院選挙で、自民党が連立相手の公明党と合わせて320議席超を獲得、圧倒的勝利で政権を奪還することとなった。
民主党は選挙前の4分の1程度の50議席台に落ち込む大敗。自民党は直ちに公明党と連立協議に入り、特別国会での首相指名選挙を経て、自公政権が誕生する。野田佳彦首相は惨敗の責任を取り、党代表を辞任する。
<自公で圧倒的多数、「ねじれ」が事実上解消>
3年3カ月におよぶ民主党の政権運営を問う選挙となったが、自民が単独で290を超す議席を獲得。公明党と合わせて全議席の3分の2となる320議席超を獲得した。憲法改正の発議や参議院で否決された法案の衆議院での再可決に必要な「圧倒的多数」を有することになる。
圧倒的多数の議席があれば、民主党が第一党である参議院が否決した法案を再可決できるため、法律、予算などの審議で、衆参のねじれ現象は事実上解消する。ただ、国会同意人事は衆参それぞれの可決が必要で、衆議院の優越権は認められない。
自民党の安倍晋三総裁は、選挙結果について「円高を是正して経済を再生するという主張に一定の評価が得られた」とした上で、政権を担うことになったらまず景気回復、デフレ脱却へ責任を果たしていきたいとの考えを示した。野田首相は会見で「(3年前の)政権交代の熱い思いにこたえることができなかった。厳しい評価が下された」と語った。
民主党は選挙前の230議席の4分の1近くまで議席数を減らした。日本維新の会は比例区で第2党となるなど議席を伸ばし、50議席以上を獲得、自民、民主に次ぐ第3党となる見通し。
新しい政権は自民、公明の連立政権になる。自民党の安倍総裁は「自民・公明で連立政権を作っていく」と明言。他の政党とは「政策ごとに、理念・政策が一致する党に協力をお願いしていきたい」と述べ、政策ごとの連携を図る考えを強調している。
自民党大勝について市場では、安定政権を好感し株高・円安を予想する声が上がる一方、積極財政への懸念の声が聞かれた。
中西文行・SMBCフレンド証券投資情報部部長は「年末ラリーで日経平均は9800円―1万円を試すことになりそうだ。政策に絡むインフラ関連、防衛関連のほか、円安進展と自由貿易の促進期待で国際優良株が物色対象になる」と一段高を予想。
ブラウン・ブラザーズ・ハリマンの村田雅志シニア通貨ストラテジストは「自民・公明両党で定数の3分の2に当たる320議席を上回れば、海外勢にとってもサプライズと受け止められる可能性が高い。ドル/円は再び上昇するだろう」と見通した。
一方、円債市場では「来夏の参院選に向けて、補正予算大型化の議論が高まりやすいだろう。債券市場にとって日銀の緩和強化は短期的にプラス要因だが、補正予算の大型化などリフレ色が強い政策運営となれば、不安定な流れを強める要因にもなりかねない」(みずほ証券・チーフ債券ストラテジスト 三浦哲也氏)との指摘が聞かれた。
ニッセイ基礎研究所チーフエコノミストの櫨浩一氏も「積極財政等の経済政策が推し進められ、2013年度はそれなりに景気は良くなるだろう。問題はそれが2014年度以降につながるかどうかだ。デフレを脱却する前に財政出動や超金融緩和政策の副作用で長期金利が上昇してしまうリスクは排除できない」など、積極財政への懸念の声が上がっている。(ロイター)
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