二期目の米オバマ政権は、北朝鮮のミサイル防御のため北東アジア地域での軍事的な増強に踏み切ると、韓国の聯合ニュースは伝えている。
この意向は、すでに中国にも伝えられているという。安倍氏が来年一月に訪米し、安倍・オバマ首脳会談が行われれば、日本に対しても米側の強い意向が伝えれるであろう。
私は北東アジア情勢が、一九九四年のクリントン民主党時代と酷似してきたとみている。日本は羽田政権下にあって米側の対北朝鮮政策が強硬路線に転じたことにツンボ桟敷に置かれていた。北朝鮮の元山沖に米第七艦隊が集結し、一歩間違えば第二次朝鮮戦争になりかねない緊張状態にあった。
ドン・オーバードーファーの「二つのコリア 国際政治の中の朝鮮半島」(1998)に詳しく出ている。
北朝鮮が原子炉の燃料棒交換を始めたという情報が米側にもたらされ、当時のペリー国防長官を中心にして米国防総省で極秘会合が開かれ、軍事的なオプションの検討にはいったのが五月。その検討内容がクリントン大統領に報告されて、事態の重大性を知った大統領は、外交関係の高官を招集して対応策を協議している。
導き出されたのは、対話と予防外交に限界があることから、軍事的オプションを辞さない”威圧外交”への転換であった。
オバマ大統領は、北朝鮮が核実験を再開すれば、クリントン政権下で準備された軍事的オプションを辞さない”威圧外交”に転換するであろう。聯合ニュースは、その兆しが出ていると報じている。
<【ソウル聯合ニュース】事実上の長距離ミサイル発射を強行した北朝鮮に対し、確実な制裁を行うため米国が中国に強い圧力をかけていることが分かった。
米国は中国が国連での対北朝鮮決議案を受け入れなければ、北朝鮮のミサイル防御のため北東アジア地域での軍事的な準備態勢を強化せざるを得ないというメッセージまで伝えていたことが明らかになった。
国連安全保障理事会問題に詳しい韓国のある消息筋は18日、「米国は北朝鮮のミサイル発射に対する国連安保理での議論が来年1月まで延びても、今回は必ず決議案を採択するという意志が非常に強い」と明かした。
この消息筋は「米軍は安保理で今回もきちんとした対北朝鮮制裁が決まらなければ、北朝鮮の脅威に備え軍事的な準備態勢を取らざるを得ないとするメッセージを中国に伝えた」と話した。
これは中国が極度に警戒する東アジアでの米軍の軍事力増強の可能性を示唆することで、中国の態度に変化をもたらそうとする戦略とみられる。
またこの消息筋によると、米国は北朝鮮のミサイル発射による国連安保理決議案推進問題を、2期目のオバマ政権と中国の習近平体制との関係を占う試金石とみているという。
このような米国による中国への圧力は、クリスマス休暇前に米国と中国が「議長声明」ラインで妥協するとされる従来の見方とは異なる。
米国は形式的ではなく実質的な制裁案を決議に盛り込むため注力しているとされる。
これに関連し、現行の対北朝鮮決議1874で「要求する(call upon)」と表現されている北朝鮮船舶に対する検査条項を、「強制(decide)」とする規定に変えることも検討されている。
中国は米国のこうした動きに、「慎重かつ適切に行うべきだ」(中国外務省報道官)とする対外的な基本姿勢を繰り返し表明している。
だが、ある消息筋は「中国は基本姿勢を維持しながらも米国の強い意志をどう受け入れるか検討しているはずだ。安保理レベルの対北朝鮮措置を受け入れながら追加的な北朝鮮への圧力は避ける案など、方法をいくつか計算しているようだ」と話した。
韓国政府内からは、中国が戦略的に国連レベルの対北朝鮮制裁決議案を受け入れる可能性があるという見方が出ている。(聯合)>
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