11254 民主代表選、強まる参院・輿石氏の意向  古澤襄

惨敗で虚脱状態の衆院民主党。最大グループの前原派も40人が15人に減ったという。
元気なのは参院のドン・輿石幹事長だというから救い難い。落選議員が相次いで、衆院は57人に減った。参院の方は88人で無傷。代表選に勝つには参院の支持が欠かせないから、輿石幹事長がキャスチングボートを握った。
誰が代表になろうとも来夏の参院選では、民主党が議席を減らすのは避けられない。いっそのこと輿石代表で玉砕した方が、民主党再建の近道という声が聞こえてくる。
<衆院選惨敗から一夜明けた17日夜。都内の料理屋に民主党の前原誠司国家戦略担当相のグループ議員6人が集まった。「衆院選の慰労会」との名目で前原氏が声を掛けた会合では、22日の代表選が話題になった。
「代表選をやればまた党内でごたごたやっているように思われる」
「候補者を1人に収(しゅう)斂(れん)させて、衆院選の総括を丁寧にやっていけばいい」
候補者一本化を求める声に前原氏は「そういうのもいいよね」と理解を示した。前原氏のグループにはやはり代表選への出馬が取り沙汰される細野豪志政調会長のグループと掛け持ちしている議員がいる。
衆院選前に約40人だったグループ議員は15人前後に激減。党内最大勢力の前原グループすら2人分の推薦人(各20人)を賄うのは、困難となった。
衆院選惨敗の結果、衆院は57人に減る。代表選に勝つには88人を擁する参院の支持が欠かせない。だが、そこは、いまだに輿石東幹事長が仕切ろうとする「奥の院」でもある。

衆院選の陣頭指揮に当たり、惨敗を招いた責任者が党再生をかける次期代表選でもキャスチングボートを握るという矛盾を前に、「ポスト野田」候補らの出馬に向けた動きは鈍い。
その輿石氏は18日、代表選候補の擁立について「みんなで考えればいい」と周囲に語った。最後は参院を牛耳る自身への「輿石詣で」が始まるとあて込んでいるかのようだ。
だが意中の候補がいないわけではない。党幹部によると、輿石氏は細野氏擁立論が党内で優勢になれば、同氏を推す構えだという。
細野氏は、もともと輿石氏とは相性がよく、党内融和路線を取るとみられている。若手からの待望論を待って気心が知れた細野氏に党再建を託すというシナリオが透けてくる。
輿石氏にとっては、来年夏の参院選での勢力維持が最重要課題。衆院選では輿石氏の不在中に幹部会合が開かれることもあり、輿石氏は参院幹部に「衆院は参院の重要性を分かっていない」と愚痴ることもしばしばだった。
民主党はいかに純化し、存在感を示していくのか。党存亡に向けた代表選に、現状維持を志向する輿石氏の壁が重くのしかかる。
「代表選の前に総括をやって何か生まれるのか?」。18日夕、輿石氏はこう言い残し、国会を後にした。(産経)
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